【フレックスタイム制の実務】労使協定の締結で注意すべきポイント6選!

フレックスタイム制の実務

フレックスタイム制の導入に当たっては労使協定の締結と、清算期間が1か月を超える場合には所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。そこで、労使協定の締結に当たり注意すべき6つのポイントをまとめました。

労使協定の締結に当たって注意すべきポイント

ポイント1. 対象となる労働者の範囲

フレックスタイム制の対象となる労働者の範囲は、各従業員、課、グループ毎など、様々な範囲が考えられます。例えば全従業員、または営業部従業員としたり、各従業員Aさん、Bさんとすることも可能です。労使で十分話し合い、協定で対象となる労働者の範囲を明確にしてください。

ポイント2. 清算期間

清算期間とは、フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を定める期間を指します。これまで上限は1か月でしたが、法改正によって上限が3か月となりました。清算期間を定めるに当たっては、その長さに加えて清算期間の起算日を定めてください。

法改正で清算期間の上限が最大3か月に延長されましたが、月ごとに繁忙期・閑散期の差があると思いますので、各企業の実態を踏まえた上で対象者の範囲や清算期間を労使でよく話し合うことが重要です。清算期間が1か月を超える場合でも、使用者は1か月ごとに実際に働いた労働時間を労働者に通知します。

ポイント3. 清算期間における総労働時間(所定労働時間)

清算期間における総労働時間とは、労働契約上、労働者が清算期間において労働すべき時間として定められた時間(所定労働時間)を指します。フレックスタイム制では、清算期間を単位として所定労働時間を定めます。
清算期間における総労働時間を定めるには、以下のとおり法定労働時間の総枠の範囲内とする必要があります。

清算期間における総労働時間

(※)特例措置対象事業場については、清算期間が1か月以内の場合には週平均44時間までとすることが可能ですが、清算期間が1か月を超える場合には、特例措置対象事業場であっても、週平均40時間を超えて労働させる場合には、36協定の締結・届出と、割増賃金の支払が必要です。(労働基準法施行規則第25条の2第4項)

月単位の清算期間とした場合の法定労働時間の総枠:例

以下の法定労働時間の総枠の範囲内で総労働時間を定めなければなりません。

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1か月単位 2か月単位 3か月単位
清算期間
の暦日数
法定労働時間の
総枠
清算期間
の暦日数
法定労働時間の
総枠
清算期間
の暦日数
法定労働時間の
総枠
31日 177.1時間 62日 354.2時間 92日 525.7時間
30日 171.4時間 61日 348.5時間 91日 520.0時間
29日 165.7時間 60日 342.8時間 90日 514.2時間
28日 160.0時間 59日 337.1時間 89日 508.5時間

労使協定では、各清算期間を通じて一律の時間(例えば1か月160時間)に定める方法の他、清算期間における所定労働日(所定労働日1日当たり○時間)に定める方法をとることもできます。

ポイント4. 標準となる1日の労働時間

標準となる1日の労働時間とは、年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金の算定基礎となる労働時間の長さを定めるものです。清算期間における総労働時間を、期間中の所定労働日数で割った時間を基準として定めます。
フレックスタイム制の対象労働者が年次有給休暇を1日取得した場合には、その日については、標準となる1日の労働時間を労働したものとして取り扱う必要があります。

ポイント5. コアタイム

コアタイムとは、労働者が1日のうちで必ず働かなければならない時間帯を指します。必ず設けなければならないものではありませんが、これを設ける場合には、その時間帯の開始・終了の時刻を協定で定める必要があります。
コアタイムの時間帯は協定で自由に定めることができ、コアタイムを設ける日と設けない日がある日によって時間帯が異なるといったことも可能です。
なお、コアタイムを設けずに、実質的に出勤日も労働者が自由に決められることとする場合にも、所定休日は予め定めておく必要があります。

ポイント6. フレキシブルタイム

フレキシブルタイムとは、労働者が自らの選択によって労働時間を決定することができる時間帯を指します。フレキシブルタイム中に勤務の中抜けをすることも可能です。フレキシブルタイムも必ず設けなければならないものではありませんが、これを設ける場合には、その時間帯の開始・終了の時刻を協定で定める必要があります。
フレキシブルタイムの時間帯も協定で自由に定めることができます。

コアタイム・フレキシブルタイムの設定の例)

コアタイム・フレキシブルタイムの設定の例

コアタイムの時間が1日の労働時間とほぼ同程度になるような場合や、フレキシブルタイムの時間帯が極端に短い場合など、労働者が始業・終業時刻を自由に決定するという趣旨に反する場合には、フレックスタイム制とはいえなくなるため注意が必要です。

まとめ

冒頭で、フレックスタイム制の導入に当たっては労使協定の締結が必要であり、清算期間が1か月を超える場合には、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要とお伝えしました。(清算期間が1か月以内の場合には届出の必要はありません。)これに違反すると、罰則(30万円以下の罰金)が科せられることがありますので、必ず怠らないようにしましょう。具体的な書式は、以下、厚生労働省の資料に掲載されていますので、参考にしてください。

厚生労働省: フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

今回は、【フレックスタイム制の実務】労使協定6つのポイントについて開設しました。次回は、フレックスタイム制における時間外労働についてお伝えしたいと思います。

厚生労働省: フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引きを加工して作成