有給休暇の取得義務は業務改善のチャンス

働き方改革の要である、有給休暇の取得がクローズアップされています。使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者について、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要があります。正しい有給休暇の取得により、働き方改革が進むことが期待されています。
この記事では、厚生労働省がまとめた働き方改革好事例集を紹介します。

年次有給休暇取得の好事例

年5日の年次有給休暇の確実な取得

建設業(リフォーム)の場合

取組前
リフォームを中心に新築や不動産販売も手掛けている、この会社は、創業以来顧客満足を最優先に事業を展開しています。業績が上がる一方でプランや見積書の作成などに時間を要し、残業が恒常化していました。
取組内容
課題は、生産性を向上させ残業時間を削減することでした。過去2万件の実績を分析し、マンションのリフォームを5プランに分類。それぞれにオプションを設定した商品を開発し、モデルルームとして再現した結果、見積書作成のスピードが上がり、打ち合わせ回数も減るなど業務効率が向上し、顧客からも「選びやすい」と好評を得たそうです。
さらに社員に、有給休暇の取得状況を見える化した「有給休暇票」「時間有給休暇申請チケット」を配布して利用を促進しました。
取組結果
有給休暇の年間平均取得率は約30%増え、月間平均残業時間は約40%減りました。

工夫と助け合いで繁忙期の負担も軽減

酒類の製造及び販売業の場合

取組前
地域で唯一の酒造会社。地域の食文化を代表するブランドを将来にわたって守るため、「より働きやすい環境」を目指しています。日本酒の製造がピークになる12月は繁忙期で、かつては休みを取るのも難しかったそうです。
取組内容
交代制の勤務にしたり、経験豊富なOBの手を借りたりして一人一人の社員にかかる負担を減らし、繁忙期もほとんど残業をせずに済むようにしました。
有給休暇(年20日間)の取得も積極的に勧め、時間単位や半日単位など、都合に合わせて取れるように改善しました。
取組結果
有給休暇の取得率は2015年の29%から17年には35%に上がりました。
働き方の改善を進める中で、一人一人の社員が、効率のいい仕事の進め方を工夫するようになり、他部署の仕事もある程度手伝えるなど「チームワーク」も磨かれているそうです。

年休管理簿の整備による年次有給休暇の取得促進

美容業(ネイルサロン)の場合

取組前
事業立ち上げ後1年、魅力ある事業所を実現するために、雇用管理体制の整備が重要であると理解はしているが、どこから手を付けたら良いのか分からない状態でした。
取組内容
働き方改革推進支援センターの専門家が、年次有給休暇に係る法制度を紹介し、取得促進に向けた年次有給休暇管理計画策定を行うことを助言。新規顧客の増加により、残業が増加することが見込まることが判明したことから、働き方改革推進支援センターの専門家は労働時間把握の重要性を説明し、さらに36協定の作成から届出までの過程を助言しました。
取組結果
年休管理簿や就業規則を整備したことで、社員の年次有給休暇取得及びその状況の管理が円滑にできるようになりました。労働基準法改正に対応する準備として、年次有給休暇管理計画を策定したとのことです。

計画的に年次有休休暇の取得を促進

製造業の場合

取組内容
年次有給休暇の平均取得率は、21.3%でにすぎませんでした。自分が休んでしまうと現場が回らなくなってしまうと感じて取得しずらいという意見が社内にあったとのこと。人員が限られており、本人が希望する時期に休暇を取得できないという状況がありました。
取組内容
各部署に所定のフォームを配布し取得予定を記入させることで3ヶ月に1日有給休暇の計画取得を実施。また長時間労働抑制・休暇取得に関する社員向け及び管理職向けの研修や会議効率化を実施しました。
取組結果
一定期間、全員が計画どおり年次有給休暇を取得することができました。事前に部署間で調整することにより休暇取得による混乱を回避することができており、職場全体として休暇を取得しやすい雰囲気が醸成されつつあるとのことです。

有休休暇取得状況の把握が大切

事例からわかるように、有給休暇の取得義務は業務改善のチャンスになっています。
計画的に年次有休休暇の取得を促進するには、常に従業員の有休休暇取得状況を把握しなければなりません。従来の管理方法では難しい年次有休休暇の管理も、現在では勤怠管理システムにより管理が自動で行われ、次期の付与予定まで一覧で表示されるなど、効率的な管理が可能となります。

有給休暇の取得義務をチャンスととらえ、勤怠管理システムを導入し業務改善に取り組みましょう。

厚生労働省働き方改革のヒント(https://www.mhlw.go.jp/content/000566530.pdf )を加工して作成