【労働契約法とは】基本ルールや労働基準法との違いを解説

労働契約法とは、労働者及び使用者の労働関係を良好に保つため、基本的なルールを定めた法律であり、労働基準法とは異なる性質を持ったものです。この記事では、労働契約法の基本ルールや労働基準法との違いなどについて解説します。
Contents
労働基準法と労働契約法の違い
労働基準法と労働契約法は、以下のような違いがあります。
法的性格の違い
労働基準法は公法で国と使用者の関係を規定する法律です。労働条件の最低基準を定めており使用者はこれを守らなければなりません。
労働契約法は私法で労働者と使用者の個別の労働契約関係を規定する法律です。労働契約の基本的ルールを定めています。
目的の違い
労働基準法は労働条件の最低基準を定めることで、労働者の生存権を保障することを目的としています。
労働契約法は労働契約の締結や変更、終了に関するルールを定めることで、労使間の対等な関係を確保し、個別の労働関係を公正に規律することを目的としています。
規制対象の違い
労働基準法は、労働時間、休憩、休日、賃金等の労働条件全般を規制対象としています。
労働契約法は、主に労働契約の成立、変更、終了に関するルールを規制対象としています。
罰則の有無
労働基準法には、法令違反に対する罰則が明確に定められています。違反があった場合には、違反した雇用者に対して罰金や刑事罰が科されることがあります。
労働契約法には、違反した場合の罰則が明確に定められていません。しかし違反行為があった場合には、労働者が損害賠償を求めるなどの民事的な手段を取ることがあります。
労働契約法の基本ルール
労働契約の締結や変更に当たり労使の対等の立場における合意によるのが原則です。(第3条第1項)
労働者と使用者は労働契約の締結や変更に当たり均衡を考慮することが重要です。(第3条第2項)
労働者と使用者は労働契約の締結や変更に当たり仕事と生活の調和に配慮することが重要です。(第3条第3項)
労働者と使用者は信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用してはなりません。(第3条第4項・第5項)
使用者は、労働契約の内容について労働者の理解を深めるようにしましょう。(第4条第1項)
労働者と使用者は、労働契約の内容(有期労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面で確認しましょう。(第4条第2項)
使用者は、労働者の生命や身体などの安全が確保されるように配しましょう。(第5条)
労働契約の締結
事業場の就業規則で定める労働条件が、労働者の労働条件になるのは次のような場合です。
労働者と使用者が、「労働すること」「賃金を支払うこと」について合意すると、労働契約が成立します。(第6条)
労働者と使用者が労働契約を結ぶ場合、使用者が① 合理的な内容の就業規則を② 労働者に周知させていた(労働者がいつでも見られる状態にしていた)場合には、就業規則で定める労働条件が、労働者の労働条件になります。(第7条本文)
労働者と使用者が、就業規則とは違う内容の労働条件を個別に合意していた場合には、その合意していた内容が、労働者の労働条件になります。(第7条ただし書)
事業場に就業規則がある場合でも、労働者のそれぞれの事情に合わせて、労働条件を柔軟に決めることができます。労働者と使用者が個別に合意していた労働条件が、就業規則を下回っている場合には、労働者の労働条件は就業規則の内容まで引き上がります。(第12条)
法令や労働協約に反する就業規則は、労働者の労働条件にはなりません。(第13条)
労働契約の変更
労働者が働いていく中では、賃金や労働時間などの労働条件が変わることも少なくありません。労働条件の変更をめぐってトラブルにならないように、使用者と労働者で十分に話し合うことが大切です。
労働者と使用者が合意すれば、労働契約を変更できます。(第8条)
使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。(第9条)
使用者が、就業規則の変更によって労働条件を変更する場合には、次のことが必要です。(第10条)
① その変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。労働者の受ける不利益の程度
労働条件の変更の必要性
変更後の就業規則の内容の相当性
労働組合等との交渉の状況
② 労働者に変更後の就業規則を周知させること。
労働契約の終了
出向、懲戒や解雇については、労働者に与える影響が大きいことからトラブルになることが少なくありませんので、紛争とならないように気をつけましょう。
権利濫用と認められる出向命令は、無効となります。(第14条)
出向命令が権利濫用に当たるかどうかは、その出向が必要であるか、対象労働者の選定が適切であるかなどの事情を総合的に考慮して判断されます。権利濫用と認められる懲戒は、無効となります。(第15条)
懲戒が権利濫用に当たるかどうかは、懲戒の原因となる労働者の行為の性質や態様などの事情を総合的に考慮して判断されます。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利を濫用したものとして無効となります。(第16条)
労働契約法の改正
労働契約法は制定以後、2012年改正により、3つのルールが規定されました。
無期労働契約への転換
同⼀の使⽤者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合は、労働者の申込みにより 無期労働契約に転換します。このルールは、有期労働契約の濫⽤的な利⽤を抑制し、労働者の雇⽤の安定を図ることを⽬的としています。
「雇止め法理」の法定化
有期労働契約は、使⽤者が更新を拒否したときは契約期間の満了により雇⽤が終了します。これを「雇⽌め」といいます。雇⽌めについては労働者保護の観点から、過去の最⾼裁判例により⼀定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇⽌め法理)が確⽴しています。この法改正では、雇⽌め法理の内容や適⽤範囲を変更することなく、労働契約法に条⽂化されました。
不合理な労働条件の禁⽌
同⼀の使⽤者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁⽌するルールです。このルールは、有期契約労働者については、無期契約労働者と⽐較して、雇⽌めの不安があることによって合理的な労働条件の決定が⾏われにくいことや、処遇に対する不満が多く指摘されていることを踏まえ、法律上明確化することとしたものです。
【労働契約法とは】基本ルールや労働基準法との違いを解説:まとめ
労働契約法、労働基準法の適切な理解は、労働者の権利を保護した上、労働者と使用者の間に信頼と協力の関係を築き、公正な労働環境を実現する鍵となります。
労働契約法は、雇用関係に関する基本的な原則や条件を規定しています。これには、労働契約の締結、内容、変更、終了などが含まれます。人事労務管理は、適切な雇用契約の作成や管理、法的手続きの遵守などを含みます。
労働基準法は、労働者の権利を保護し、労働条件を規定する法律です。これには、最低賃金、労働時間、休暇、休憩、労働災害の予防などが含まれます。勤怠管理は、労働基準法に従った労働時間や休憩時間の適切な管理を含みます。
したがって、人事労務管理や勤怠管理は、労働契約法や労働基準法を遵守するための重要な手段として位置付けられます。適切な管理を行うことで、雇用関係が公正で健全なものとなり、法的リスクを最小限に抑えることができます。法の意図を理解し、職場における透明性と柔軟性を高めることで、持続可能な働き方が実現できるでしょう。
厚生労働省:
労働契約法のポイント(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/08.pdf)
2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156050.pdf)
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