【賃金引上げ】中小企業向け支援を利用しよう

賃金引上げ

3月15日の政労使会議で、岸田首相は最低賃金の全国加重平均を2022年の961円から23年に1,000円へ上げる目標を示しました。大企業の賃金引上げの流れを中小や地方に波及させる狙いです。
この記事では、賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援施策を紹介します。

賃金引上げに関する支援施策

最低賃金額は、毎年、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考にして、各都道府県最低賃金審議会において審議が行われ、改定額が決定されます。令和4年度においては、全国加重平均で31円の引上げとなりました。
中小企業・小規模事業者にとっては、賃金引上げが数十円であっても、大きな負担となります。そのため、様々な支援が用意されています。

賃金引上げに関する支援1. 業務改善助成金

事業場内で最も低い時間給(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行う場合、その設備投資などに要した費用の一部を助成します。

【対象】

事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内の事業場

【支援内容】

引上げ額、引き上げる労働者の数、事業場内最低賃金額に応じ、設備投資などに要した費用に助成率を乗じた金額について、助成上限額の範囲内で支給します。

業務改善助成金

賃金引上げに関する支援2. キャリアアップ助成金

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成します。

【対象】

雇用保険適用事業所ごとに有期雇用労働者等のキャリアアップに取り組む者をキャリアアップ管理者として配置し、事業主が作成するキャリアアップ計画に基づき以下の1〜6までのいずれかを実施した事業主。

  1. 正社員化コース
  2. 障害者正社員化コース
  3. 賃金規定等改定コース
  4. 賃金規定等共通化コース
  5. 諸手当制度等共通化コース
  6. 短時間労働者労働時間延長コース

【支援内容】

上記、賃金規定等改定コースについて、有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用した事業主に対して、下記の額の助成を行います。

3%以上5%未満増額改定した場合50,000円/1人当たり
5%以上増額改定した場合65,000円</1人当たり

※1年度1事業所当たり100人までは複数回の申請ができます。
※職務評価を行った上で賃金規定等を改定した場合は、助成額の加算が受けられます。
※中小企業以外の場合、助成額は上記の2/3程度となります。

賃金引上げに関する支援3. 中小企業向け賃上げ促進税制

青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で賃金引上げを行った場合、その増加額の一定割合を法人税額(又は所得税額)から控除できる制度です。

適用対象:青色申告書を提出する中小企業者等
適用期間:令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度
(個人事業主は、令和5年から令和6年までの各年が対象)

中小企業向け賃上げ促進税制

賃金引上げに関する支援4. 企業活力強化貸付(働き方改革推進支援資金)

事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げに取り組む中小企業・小規模事業者に対して、設備資金や運転資金を低金利で融資します。

【対象】

事業場内最低賃金を2%以上引き上げ

※ 働き方改革推進支援資金は、上記対象の他に、非正規雇用の処遇改善への取組や長時間労働の是正を実現するため、業務効率向上・生産性向上を図る設備導入や非正規雇用労働者の賃上げ・正社員化、多様な人材の活用促進などを図る方も対象としています。

【支援内容】

■貸付限度額

中小企業事業:7億2,000万円(※)(うち長期運転資金2億5,000万円)

(※)特別利率①の限度額:2億7,000万円

国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)

■貸付利率

特別利率①(基準利率から0.4%引下げ)

※ 基準利率:中小企業事業1.20%(貸付期間5年の場合)
国民生活事業2.15~3.15%(担保を不要とする融資希望の場合)
※ 基準利率は、令和5年1月4日現在。実際の適用利率は、信用リスク(担保の有無を含む。)等に応じて決定。

■貸付期間

設備資金 20年以内(うち据置期間2年以内)
(長期)運転資金 7年以内(うち据置期間2年以内)

※ 業務改善助成金等の助成金と併用(自己負担分のための融資など)にも活用可能。
※ 生活衛生営業を営む方については、日本政策金融公庫の別の融資制度である【生活衛生貸付】においても同様に特別利率の適用。

【賃金引上げ】中小企業向け支援を利用しよう:まとめ

賃金引上げは、中小企業・小規模事業者にとって負担ばかりではなく、生産性の向上や品質の改善など、企業の業績向上につながるというメリットがあります。

賃金引上げにより、従業員のやる気が向上し、仕事に対するモチベーションも高まりますし、従業員は長期的なキャリアプランを描くことができるため、従業員の定着率が向上し、育成コストの削減につながります。また従業員に対する適正な待遇を行うことで、企業のイメージアップになり採用においても有利です。

今後はさらに人材確保の取組みが重要になっていくことが予想されます。今の人材を守り、新しい人材も確保するためにも、賃金引上げの各種支援策を活用していきましょう。

厚生労働省:最低賃金・賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援施策紹介マニュアル
(https://www.mhlw.go.jp/content/001041333.pdf)を加工して作成