【パワーハラスメント対策が必須に!】防止法が中小企業にも適用

パワーハラスメント

2020年6月から大企業を対象に施行されたパワーハラスメント対策の義務化が、2022年4月から中小企業にも適用されました。
職場におけるパワーハラスメントは、職務上の地位や優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させる行為を指します。

パワーハラスメントについては、画一的な線引きができないため、判断の難しさがあります。この記事では、パワーハラスメントの定義や該当例、防止方法について紹介します。

職場におけるパワーハラスメントの実態

職場のパワーハラスメントは、実際にどの程度起こっているのでしょうか。
2020年に厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年以内にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した者は31.4%でした。

また、都道府県労働局における2020年6月の労働施策総合推進法施行後のパワーハラスメントの相談件数は1万8千件、いじめ・嫌がらせの相談件数も2020年度には約8万件にも上り、パワーハラスメントはどの企業にも身近な問題と言えます。

個別労働紛争解決制度の枠組み

出典:厚生労働省令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況
(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000797476.pdf)

【パワーハラスメント.1】優越的な関係を背景とした言動

業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者とされる者(以下「行為者」といいます)に対して抵抗や拒絶することができない関係を背景として行われるものを指します。

【パワーハラスメント.2】業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。

【パワーハラスメント.3】就業環境が害されるもの

労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。

パワーハラスメント該当例

職場におけるパワーハラスメントの状況は多様ですので、何がパワーハラスメントに該当するかを限定しにくいですが、代表的な言動の類型としては以下の 6つの類型があります。どんな行為がパワーハラスメントに該当するか、例をあげました。

1.身体的な攻撃(暴行・傷害)

  • 物を投げつけられた、身体に当たった
  • 蹴られたり、殴られたりした
  • いきなり胸ぐらをつかまれた、説教された

2.精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)

  • 同僚の前で、上司から無能扱いする言葉を受けた
  • 皆の前で、ささいなミスを大きな声で叱責された
  • 必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱られた

3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

  • 理由もなく他の社員との接触や協力依頼を禁じられた
  • 先輩・上司に挨拶しても、無視され、挨拶してくれない
  • 根拠のない悪い噂を流され、会話してくれない

4.過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)

  • 終業間際なのに、過大な仕事を毎回押しつけられる
  • 1人ではできない量の仕事を押しつけられる
  • 達成不可能な営業ノルマを常に与えられる

5.過小な要求(合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる・仕事を与えない)

  • 営業職なのに、掃除などの雑用を必要以上に強要される
  • 他の部署に異動させられ、仕事を何も与えられない

6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

  • 個人所有のスマートフォンを勝手にのぞかれる
  • 不在時に、机の中を勝手に物色される
  • 休みの理由を根掘り葉掘りしつこくきかれる

パワーハラスメントが発生する職場の特徴

職場のハラスメントに関する実態調査によると、パワーハラスメントが発生する職場の特徴として上司と部下のコミュニケーションが少ない・ハラスメント防止規定が制定されていない・失敗が許されない・失敗への許容度が低い・残業が多い・休暇を取りづらいなどが上げられます。

職場の特徴(パワハラ経験有無別)

職場の特徴(パワハラ経験有無別)

出典:厚生労働省 令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査報告書(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000775817.pdf)

パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進める上での課題

ハラスメントの予防・解決のための取組を進める上での課題としては、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」の割合が最も高く、次いで「発生状況を把握することが困難」が高くなっています。

ハラスメントの予防・解決のための取組を進める上での課題(従業員規模別)

ハラスメントの予防・解決のための取組を進める上での課題(従業員規模別)

出典:厚生労働省 職場のハラスメントに関する実態調査(https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/000775797.pdf)

パワーハラスメント対策

職場におけるパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント及び妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するために、主に以下の措置が厚生労働大臣の指針に定められています。企業・事業主は、これらのパワーハラスメント対策を必ず行う必要があります。

  • 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
  • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
  • 併せて講ずべき措置 (プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等)

なお、派遣労働者に対しては、派遣元のみならず、派遣先事業主も措置が必要です。

社内のパワーハラスメント対策の取組

パワーハラスメントの予防

取組例1:トップのメッセージ

  • 組織のトップが、方針やガイドライン、規定等で、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に発信する

取組例2:ルールの決定

  • 就業規則に関係規定を設ける・労使協定を締結する・予防・解決についての方針やガイドラインを作成する

取組例3:実態把握

  • パワーハラスメントの有無や従業員の意識をアンケートで把握する
  • 安全管理者や産業医へヒアリングする、個人面談の際の自己申告項目に入れる

取組例4:教育

  • コミュニケーション活性化やその円滑化のための研修を実施する
  • マネジメントや指導についての研修を実施する

取組例5:周知

  • 組織の方針やルールについて周知する・相談窓口を設置していることを周知する・定期的にパワーハラスメント防止に関する・メッセージを発信する

パワーハラスメントの解決

取組例1:相談・解決の場の設置

  • 談に対応する制度を設ける、外部の機関に相談への対応を委託する
  • 事実関係の確認等を行い、解決につなげる

取組例2:再発防止

  • 事例発生時にメッセージを発信する
  • 意識啓発のための研修、講習等を改めて実施する
  • 職場環境改善のためにコミュニケーションの強化や長時間労働対策を行う

【相談対応・解決処理までの手順】

相談窓口から再発防止措置の実施まで、例えば以下のような流れが考えられます。

パワーハラスメント再発防止

出典:厚生労働省 職場のハラスメントに関する実態調査(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000181888.pdf)

【パワーハラスメント対策が必須に!】防止法が中小企業にも適用:まとめ

パワーハラスメントの事実が確認されても、問題を軽く考える、また個人間の問題として当事者の解決に委ねようとする対応は、問題をこじらせ解決を困難にすることになりかねません。

パワーハラスメントは業務にも影響を与え、企業にとって大きなリスクとなります。
適正な解決のためには、パワーハラスメントの事実が確認されたらすぐに対応し、行為者に対して処分を行うだけでなく、なぜハラスメントに該当し、どのような問題があるのかを理解させるなど、真摯に取り組むことが重要です。

厚生労働省
職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました
(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf)
職場におけるパワーハラスメント
(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000378186.pdf)
職場のハラスメントに関する実態調査
(href=”//www.mhlw.go.jp/content/11200000/000775817.pdf)
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