【人材確保等支援助成金】魅力ある職場づくりを支援

人材確保等支援助成金は、魅力ある職場づくりを支援するための助成金です。事業主や事業協同組合が労働環境の改善を図り、人材の確保・定着を目指す取り組みに対して助成されます。
この記事では、人材確保等支援助成金の各コース(2024年8月現在)の概要を解説します。
Contents
人材確保等支援助成金制度の背景
人材確保等支援助成金が設けられた背景には、労働力不足が深刻化している現状があります。
特に中小企業では、優秀な人材の確保と定着が難しくなっており、労働環境の改善や魅力ある職場づくりが急務となっています。全国の中小企業を対象に実施した人手不足の状況に関する調査によると、「人手が不足している」との回答が68.0%※にのぼり、2015年の調査実施以来最大となりました。
※出典 人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査(https://www.jcci.or.jp/20230928_diversity_release.pdf)
日本は、今後さらに労働力人口の減少が見込まれます。その中で企業が成長していくには、労働環境を整備することで人材を確保し、定着させることで、生産性を向上することが不可欠です。
人材確保等支援助成金のコース
人材確保等支援助成金には、様々なコースがあります。特に人材不足が深刻な建設分野に対するコースが強化されています。
中小企業団体助成コース
改善計画の認定を受けた中小企業団体(事業協同組合等)が構成中小企業者のために、人材確保や従業員の職場定着を支援するための事業を行った場合に助成されます。
【助成金額】
中小企業団体が構成中小企業者に労働環境向上事業を実施した場合に、要した費用の2/3を支給(上限額は、団体の規模に応じて600~1,000万円)
【主な要件】
事業協同組合などが、構成中小企業の人材確保や職場定着支援の事業を実施 等
【活用事例】
事業協同組合が助成金を活用し、雇用確保・職場定着のための事業を実施
組合傘下の中小企業から、人材を募集しても集まらない・人材が職場に定着しない等の声があったため、傘下の中小企業の合同企業説明会の開催、及び企業への職業相談者の配置を実施し、助成金を利用。
参照記事:【人事評価改善等助成コース】従業員の成長と企業の発展を結びつけるきっかけに
人事評価改善等助成コース
生産性向上に資する人事評価制度を整備し、定期昇給等のみによらない賃金制度を設けることを通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る事業主に対して助成されます。
【助成金額】
目標達成助成:離職率低下・賃金アップ 80万円
【主な要件】
従業員の賃金アップを含む人事評価制度を導入 等
【活用事例】
人事評価制度を整備し、従業員のモチベーションが向上
会社の評価や賃金決定の仕組みが不透明であったため、従業員のモチベーションを上げて事業所の生産性を向上させるために、標準評価の際に2%賃金アップする人事評価制度を整備し、助成金を利用。
建設キャリアアップシステム等普及促進コース
建設事業主団体が実施する次の事業に対して助成されます。
中小構成員※等に対し、建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者登録、技能者登録、能力評価(レベル判定)または見える化評価の登録費用の全部又は一部を補助する事業
中小構成員等を対象にCCUSの事業者登録、技能者登録、能力評価および見える化評価の事務手続を支援する事業
中小構成員等におけるCCUSの就業履歴蓄積に係るカードリーダーなどの各種機器やアプリなどのソフトウェア等の導入を促進する事業
※中小構成員=建設事業主団体の構成員である中小建設事業主等のほか、当該構成事業主と元下関係にある中小建設事業主
【助成金額】
上記、いづれの事業にも共通
建設事業主団体
(中小建設事業主団体)支給対象経費の2/3
(中小建設事業主団体以外の建設事業主団体)支給対象経費の1/2
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
以下に対して助成されます。
若年および女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を行った建設事業主または建設事業主団体
建設工事における作業についての訓練を推進する活動を行った広域的職業訓練を実施する職業訓練法人
【助成金額】
《1の場合》
建設事業主
(中小建設事業主)支給対象経費の3/5<3/4>
(中小建設事業主以外の建設事業主)支給対象経費の9/20<3/5>
※雇用管理研修等を受講させた場合、1人あたり日額8,550円加算(最長6日間)
(注)<>内は賃金要件が認められる場合の額
建設事業主団体
(中小建設事業主団体)支給対象経費の2/3
(中小建設事業主団体以外の建設事業主団体)支給対象経費の1/2
《2の場合》
支給対象経費の2/3
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
以下について助成されます。
岩手県、宮城県、福島県に所在する作業員宿舎、作業員施設、賃貸住宅を賃借した中小建設事業主
自ら施工管理する建設工事現場に女性専用作業員施設を賃借した中小元方建設事業主
認定訓練の実施に必要な施設や設備の設置又は整備を行った広域的職業訓練を実施する職業訓練法人
石川県に所在する作業員宿舎、賃貸住宅、作業員施設を賃借した中小建設事業主
【助成金額】
《1の場合》支給対象経費の2/3
《2の場合》支給対象経費の3/5<3/4>
《3の場合》支給対象経費の1/2
《4の場合》(作業員宿舎)建設労働者1人あたり25万円
(賃貸住宅、作業員宿舎)支給対象費用の2/3
(注)<>賃金要件が認められる場合の額
外国人労働者就労環境整備助成コース
外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(就業規則等の多言語化など)を通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成します。
【助成金額】
支給対象経費の1/2(上限57万円)(賃金要件を満たした場合は2/3(上限72万円))
【主な要件】
就労環境整備措置(雇用労務責任者の選任、就業規則等の社内規程の多言語化など)の導入・実施
離職率目標の達成 等
テレワークコース
良質なテレワークを制度として導入し実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主に対して助成されます。
【助成金額】
機器等導入助成:1企業あたり、支給対象となる経費の50%
目標達成助成:企業あたり、支給対象となる経費の15% <賃金要件を満たす場合25%>
【主な要件】
機器等導入助成
評価期間(機器等導入助成)において、1回以上、テレワーク実施対象労働者全員がテレワークを実施 等
目標達成助成
評価時離職率が、計画時離職率以下であること 等
【活用事例】
機器等導入助成
新規にテレワーク勤務を導入するため、就業規則を整備し、社員に研修を行ったほか、テレワークに必要な機器を導入し、助成金を利用
目標達成助成
その後、離職率低下等の目標について達成できたので、助成金を利用。
派遣元特例コース
労使協定の定めにより、雇用する派遣労働者を対象に、令和6年5月24日から令和7年3月31日までの間に新たに賃金制度を整備又は改善した派遣元事業主に対して助成されます。
【助成金額】
5万円に派遣労働者1人当たり1万円を加算した合計額が支給されます。
※必要経費の合計が上記合計額を超える場合は、当該経費の総額が上限。
【人材確保等支援助成金】魅力ある職場づくりを支援:まとめ
人材確保等支援助成金は、企業の労働環境改善を後押しする有用な制度の一つです。
特に、人材不足が深刻な建築業について、多様なコースが用意されています。労働環境の整備は、正確な労働時間管理が基本。建築分野では、多くの作業員が出入りする現場での労働時間管理が必要です。
勤怠管理システムなら、タブレット端末を設置しておくことで、出退勤の記録が簡単・正確に残せて、本社でもリアルタイムに現場の出勤状況を確認できます。
人材確保等支援助成金を機に、従業員満足度の向上を目指すことは、長期的な企業価値向上への投資となるでしょう。
厚生労働省:人材確保等支援助成金のご案内(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07843.html#20005a)を加工して作成
