キャリアアップ助成金で非正規雇用者の正社員化を

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化などの取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。取り組みを実施することで、従業員の意欲・能力を高め、事業の生産性を向上させ、優秀な人材を確保することができます。この記事は、キャリアアップ助成金の各コースについて紹介します。
Contents
キャリアアップ助成金:正社員化支援
正社員化コース
有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換、または直接雇用した場合に助成されます。
正規雇用労働者等へ転換または派遣労働者を正規雇用労働者等として直接雇用することが必要です。正規雇用労働者には「多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)」を含みます。
【支給額】
| 中小企業 | 大企業 | |
| 有期 → 正規 | 80万円 | 60万円 |
| 無期 → 正規 | 40万円 | 30万円 |
※ 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者で直接雇用する場合に加算/1人当たり28.5万円(大企業も同額)
※ 対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合に加算/①:1人当たり9.5万円 ②:4.75万円(大企業も同額)
※ 人材開発支援助成金の訓練修了後に正社員化した場合に加算
(自発的職業能力開発訓練または定額制訓練以外の訓練修了後)①:1人当たり9.5万円 ②:4.75万円(大企業も同額)
(自発的職業能力開発訓練または定額制訓練修了後)①:1人当たり11万円 ②:5.5万円(大企業も同額)
※ 正社員転換等制度を新たに規定し、当該区分に転換等した場合に加算/1事業所当たり20万円(大企業の場合、15万円)
※ 多様な正社員制度(注)を新たに規定し、当該区分に転換等した場合に加算(注:勤務地限定・職務限定・短時間正社員いずれか1つ以上)/1事業所当たり40万円(大企業の場合、30万円)
障害者正社員化コース
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換した場合(1人当たり)に助成されます。
正規雇用労働者には「多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)」を含みます。
重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者の場合
| 中小企業 | 大企業 | |
| 有期 → 正規 | 120万円 | 90万円 |
| 有期 → 無期 | 60万円 | 45万円 |
| 無期 → 正規 | 60万円 | 45万円 |
重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者以外の場合
| 中小企業 | 大企業 | |
| 有期 → 正規 | 90万円 | 67.5万円 |
| 有期 → 無期 | 45万円 | 33万円 |
| 無期 → 正規 | 45万円 | 33万円 |
※助成額が支給対象期間における対象労働者に対する賃金の額を超える場合には、当該賃金の総額を上限額として支給されます。
キャリアアップ助成金:処遇改善支援
賃金規定等改定コース
有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合(1人当たり)に助成されます。
| 中小企業 | 大企業 | |
| 3%以上5%未満 | 5万円 | 3.3万円 |
| 5%以上 | 6.5万円 | 4.3万円 |
※ 「職務評価」の手法の活用により増額改定を実施した場合に加算1事業所当たり20万円(大企業の場合15万円)
賃金規定等共通化コース
有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用した場合に助成されます。
| 中小企業 | 大企業 | |
| 1事業所当たり | 60万円 | 45万円 |
賞与・退職金制度導入コース
有期雇用労働者等を対象に、賞与・退職金制度を導入し、支給または積立を実施した場合に助成されます。
| 中小企業 | 大企業 | |
| 1事業所当たり | 40万円 | 30万円 |
※ 同時に導入した場合に加算 16.8万円(大企業の場合、12.6万円)
社会保険適用時処遇改善コース
短時間労働者に以下のいずれかの取組を行った場合(1人当たり)に助成されます。
①新たに社会保険の被保険者となった際に、手当支給・賃上げ・労働時間延長を行った場合
②労働時間を延長して新たに社会保険の被保険者とした場合
| 中小企業 | 大企業 | |
| 手当等支給メニュー | 50万円 | 37.5万円 |
| 併用メニュー | 50万円 | 37.5万円 |
| 労働時間延長メニュー | 30万円 | 22.5万円 |
キャリアアップ計画
キャリアアップ計画とは、有期雇用労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、今後のおおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取り組み)をあらかじめ記載するものです。
キャリアアップ計画書の例



キャリアアップ助成金の申請までの流れ
「キャリアアップ助成金」の活用に当たっては、各コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」の提出が必要です。

活用事例(社会保険適用時処遇改善コース)
本社:東京都/従業員数:10万人(うちパート従業員約9万5 ,000人)
事業内容:飲食業
課題:就業調整による人手不足
活用した助成金のメニュー:手当等支給、労働時間延長
1.従業員との個別面談を実施
業調整している従業員のリストを作成し、各店舗マネージャーが個別に面談を実施。社会保険への加入勧奨や勤務時間を増やしてもらうための交渉を行った。
ポイント
⇒社会保険加入の希望を確認(配偶者手当の問題なのか、税の配偶者控除・扶養控除と混同していないか等を確認)
⇒社会保険加入条件(週20時間以上かつ月額賃金8.8万円以上等)の考え方を含め、職場での働き方と社会保険加入との関係を丁寧に説明。
週20時間以上働くことを希望する従業員には
(1)年収128万円を超える収入(標準報酬月額10 .4万円超)を希望する場合、相当する労働時間の延長を提案。
(2)(1)以外の場合で、社会保険に加入する場合、保険料と同額を会社が手当として支給することを説明。
2.社会保険に加入するメリットを周知
未加入の従業員の多くが「制度がわからない」と感じていたため、メリットが簡単に分かるガイドブックを作成し、マネージャーと従業員が一緒に検討できるようにした。
ポイント
将来の年金UP、もしもの時の給付(傷病手当金、出産手当金)など、メリットを解説。会社が加入している健康保険組合の健康診断無料等の追加給付も併せて説明。
3.再度、従業員の方との個別面談を実施
就業調整している従業員を対象に、再度面談を実施。
ポイント
従業員の希望する働き方を確認し、社会保険への加入または希望する収入の枠内での勤務可能な時間を再度計算し、その範囲内で最大限勤務してもらえるよう協力を求めた。
取組による効果
社会保険適用促進手当の対象(標準報酬月額10 .4万円以下、月収10 .7万円未満)の社会保険加入者が増加
- 個別交渉により多くの従業員の勤務時間が増加し、人手不足の解消に寄与した
- 家庭でマネープラン(世帯単位での収入)について話すことで、勤労意欲の向上につながった
- 何度も面談を重ねることでメリットを理解してもらい、社会保険加入につながった
- 「今年は難しいが、来年は社会保険に加入したい」と希望する従業員が増えた
キャリアアップ助成金で非正規雇用者の正社員化を: まとめ
キャリアアップ助成金の制度を活用することができれば、費用の助成を受けながら人材育成やの取り組みが可能となり企業の成長に繋がります。非正規雇用労働者を雇用する企業は、ぜひ活用したい助成金です。
非正規雇用労働者の中には長く勤務を続け企業のサービス・製品に精通した従業員も多く、こういった人材がキャリアアップすれば、大きな企業の戦力になります。
キャリアアップ助成金の申請作業には手間や時間がかかりますが、返済義務がなく内容が審査されるものではありません。複数の要件を満たせば確実に受け取ることができますので申請にチャレンジしてみましょう。
厚生労働省:
キャリアアップ助成金のご案内 (令和6年度版)(https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001249270.pdf)
キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)活用事例(https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001216585.pdf)
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