【勤務間インターバル制度】導入・運用を成功させるポイント

勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了から翌日の勤務開始までの間に、一定時間以上のインターバル(休息時間)を設け、労働者の生活・睡眠時間を確保する仕組みです。
平成30年の労働基準法の改正で、労働者の働き方に影響を及ぼす重要な改正があり、この時に勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務となりました。
令和2年までに、勤務間インターバル制度を導入している企業割合を10%以上とするという数値目標が設定されていましたが、厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査」によると、勤務間インターバル制度を導入している企業は4.6%と、未だに目標が達成できていません。
長時間労働を防ぐためには、時間外労働の上限規制や、フレックスタイム制等に加え、勤務間インターバル制度を導入することも有効な手段になります。この記事では、勤務間インターバル制度導入のメリットや、導入・運用を成功させるためのポイントを紹介します。
Contents
勤務間インターバル制度について
勤務間インターバル制度を導入した場合、例えば下図のような働き方が考えられます。

このほか、ある時刻以降の残業を禁止し、次の始業時刻以前の勤務を認めないなどの方法で、インターバル時間を確保する方法もあります。
近年、変形労働時間制・フレックスタイム制・裁量労働制などを採用する企業が増えてきました。
繁忙期等の特定の時期に長時間労働になる交替制勤務において、勤務間隔の短いシフトで勤務しなければならない場合があり、十分な休息時間を確保できなくなります。その場合にも、勤務間インターバル制度を併用するのが有効です。
勤務間インターバル制度導入のメリット
従業員の健康維持
インターバル時間が短くなるにつれて、ストレス反応が高く、またインターバル時間が12時間を下回ると起床時に疲労感が残ることが研究で明らかに※1なっています。インターバル時間を取ることによって、従業員の精神的・肉体的な健康を維持し、企業として安定した生産性を得ることが期待できます。
※出典:厚生労働省 勤務間インターバル制度 導入・運用マニュアル
従業員の確保・定着
インターバル時間を確保することにより、従業員はその時間を自分のため・家族や友人等と過ごす時間などにあてることができ、ワーク・ライフ・バランスが充実します。そういった職場は従業員にとって働きやすく魅力的であり、勤務間インターバル制度は人材の確保・定着に大きく役立つと言えます。
生産性の向上
勤務間インターバル制度の導入により、従業員は仕事とプライベートの区切りをつけることができ、仕事に集中することができます。仕事への集中度が高まれば、製品・サービスの品質水準・生産性の向上につながります。
勤務間インターバル制度導入の手順
勤務間インターバル制度導入の検討
- 現状を把握するために、就業規則等で定められている労働時間に関する規定を改めて確認
- 次に、従業員本人やその上司などから直接話を聞き、労働時間の現場の実態を正確に把握しましょう。
時間外労働や休日労働の有無・長さを含む労働時間や通勤時間等を把握し、インターバル時間が十分に取れているか、もし十分に取れていないのであればどのような従業員が、どんな理由で、どの程度取れていないのかまでを確認します。
- 現状の把握と課題の抽出で明らかにされた現状を踏まえて、具体的な導入目的を設定
- たとえば、特定の従業員群に課題があれば原因を踏まえた上で、健康管理の目的を設定したり、長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの充実を目的に設定することも考えられます。円滑な運用のために、その導入目的を労使間で共有することが大切です。
- 勤務間インターバル制度を導入して成果をあげるには、従業員、管理職共に制度の意義を理解し納得することが必要
- 勤務間インターバル制度の意義と内容についての丁寧な説明とともに、経営層が従業員に対して企業全体で制度の円滑な運用に取り組むという強い姿勢をみせることが効果的です。
勤務間インターバル制度導入の設計
- 制度の適用対象となる従業員の範囲を検討します。
- インターバル時間数を検討します。
- 定められたインターバル時間を確保することによって、翌日の所定勤務開始時刻を超えてしまう場合の対応方法を検討します。
- 定められたインターバル時間を確保しない・確保できないことが認められるケースの有無とその内容を検討します。
- インターバル時間の確保に関する申請手続き等の有無とその方法を検討します。
- 定められたインターバル時間を確保できなかった場合の取り決めの有無とその内容を検討します。
- インターバル時間の確保状況を適切に把握できるよう、制度導入を機に労働時間管理方法の見直しを行います。
勤務間インターバル制度が確実に機能するために、就業規則の改訂や労働協約等の締結により、勤務間インターバル制度を社内の「制度」として位置付け、明確に文書として書きあらわしましょう。
勤務間インターバル制度の導入・運用
勤務間インターバル制度を円滑に運用していくためには、現場の管理職や従業員の理解と協力が不可欠です。負担が増すのではないかという不安を感じる管理職や従業員の不安等を払拭するには、勤務間インターバル制度導入の意義やインターバル時間を確保するための工夫、留意点等について事前に周知することが必要です。
また、顧客から短納期発注や突発的な作業依頼が続けば、インターバル時間を確保することは難しくなりますので、勤務間インターバル制度の円滑な運用のためには、顧客や取引先の理解も重要です。
インターバル時間を確保しやすい環境のために、一定時刻になると、自動的にパソコンをシャットダウンする仕組を導入したり、管理職が部下の勤務実態を定期的に把握し、必要に応じて業務内容や業務量等を調整するなど、インターバル時間の確保に向けた工夫が考えられます。
【勤務間インターバル制度】導入・運用を成功させるポイント:まとめ
長時間労働を防ぐためには、時間外労働の上限規制や、フレックスタイム制等に加え、勤務間インターバル制度を導入することが有効です。
スムーズに運用するためには、常に各従業員の労働状況を確認し、インターバル時間を正確にチェックすることが重要。特に、変形労働時間制・フレックスタイム制・裁量労働制などにおいて勤務間隔の短いシフトで勤務しなければならない場合があり、管理が複雑になりがちです。その場合は、どこにいてもスマートフォンなどで打刻可能であり、シフト管理や個人毎の集計ルールを詳細に設定できる勤怠管理システムなどを利用することで、インターバル時間を正確に把握することが可能です。
労務管理用機器やソフトウェアの導入、また外部の専門家によるコンサルティングなども助成対象となります。これを機に、勤務間インターバル制度に取り組み、従業員の健康維持・確保・生産性の向上を目指しましょう。
厚生労働省:勤務間インターバル制度について(https://work-holiday.mhlw.go.jp/interval/)より抜粋・加工して作成
