業界全体の生産性向上につながる取組を支援【令和7年版】働き方改革推進支援助成金|団体推進コース

団体推進コース

働き方改革推進支援助成金「団体推進コース」は、その名の通り「団体」を対象とし、傘下の事業主の働き方改革を支援することに特化した助成金です。他のコースが個別の事業主を対象とする場合が多い中で、このコースならではの解決できる課題と特徴があります。
この記事では、団体推進コースの概要を解説します。

働き方改革推進支援助成金「団体推進コース」とは

働き方改革は、個々の企業だけでなく、業界や地域全体で取り組むことで、より大きな成果を生み出します。その取組を強力に後押しするために、厚生労働省が提供しているのが、働き方改革推進支援助成金の中でも特に中小企業事業主の「団体」を対象とした「団体推進コース」です。

このコースは、単独の企業では難しい大規模な取組や、業界共通の課題解決を目指す事業主団体等を支援するために設計されています。中小企業が抱える人手不足、生産性向上、従業員の定着といった課題に対し、団体が主体となって解決策を模索し、その成果を傘下の企業に波及させることを目指しています。

団体推進コースの主な目的

「団体推進コース」の主な目的は、事業主団体やその連合団体(以下「事業主団体等」)が、その傘下にある労働者を雇用する事業主(以下「構成事業主」)の労働条件を改善するための取組を実施した場合に、その経費を助成することにあります。具体的には、時間外労働の削減や賃金の引き上げといった、働き方改革の核心となる目標達成に向けた活動が対象となります。

事業主団体等が中心となり、ノウハウを共有し、共同で設備を導入するなどして、構成事業主全体の生産性向上や魅力ある職場環境づくりを促進します。これは、個々の企業への支援を超え、業界全体の持続的な発展と、そこで働く人々のワークライフバランスの改善に貢献することを目指す、非常に戦略的な助成金と言えるでしょう。

団体推進コースだけが解決できる課題

個々の企業単位では対応が難しい「業界全体」や「地域全体」にまたがる課題を解決するのは、団体推進コースならではです。具体的には、以下のような課題です。

業界や地域全体で共通する労働条件の改善

例:下請取引の適正化、業界全体の労働時間短縮や賃金引上げ、複数企業が共同で利用する設備や仕組みの導入、好事例の収集・普及、合同セミナーや相談窓口の設置など。

複数の企業が連携して取り組むことで効果が高まる課題

例:業界全体の働き方改革に向けたモデル事業の実施、共同での人材確保や市場調査、新ビジネスモデルの開発、共同の販路拡大など。

個別企業単位の助成コース※では対応できない「団体全体での取組」

※労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース、業種別課題対応コース

例:商工会や協同組合などの団体が、傘下の複数企業のために一括して改善策を企画・実施し、全体の底上げを図る場合。
このように、団体推進コースは、業界や地域の横断的な課題を団体のリーダーシップで解決するための唯一のコースです。他のコースは個社ごとの申請・実施が前提のため、団体単位での広域的・集団的な取組には対応できません。

支給対象となる事業主

このコースで助成金を受けられるのは、次のいずれかに該当し、かつ「3事業主以上(共同事業主の場合は10事業主以上)」で構成され、1年以上活動している事業主団体などです。

1. 事業主団体

以下のいずれかに該当する団体が対象です。

法律で定められた団体等

例:事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、協業組合、商工組合、商工組合連合会、都道府県中小企業団体中央会、全国中小企業団体中央会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会、商工会議所、商工会、生活衛生同業組合、一般社団法人、一般財団法人

労働基準法第142条に定める、鹿児島県および沖縄県で砂糖を製造する事業に関連する団体

例:日本甘蔗糖工業会、日本分蜜糖工業会、沖縄県黒砂糖工業会

上記以外の事業主団体

一定の要件を満たす必要があります。

2. 共同事業主:全員の合意で協定書を作成することが必要

共同する全ての事業主の合意に基づく協定書を作成している等の、要件を満たしていることが必要です。

一般的な事業主団体等(例:商工会、協同組合など):労災保険加入&中小企業が半数超

事業主団体等は、労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業主であることが必要です。また、団体を構成する事業主のうち「中小企業事業主」の割合が全体の2分の1を超えている必要があります。

適用猶予業種等団体:労災保険加入&中小企業が5分の1超・特定業種のみ対象

下記のいずれかに該当する事業主で構成される団体は、適用猶予業種等団体と言います。

  • 建設業など(労働基準法139条2項に該当)

  • 自動車運転業務を行う事業主(労働基準法140条1項)

  • 病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院の運営事業主

  • 鹿児島県・沖縄県で砂糖製造を主とする事業主(労働基準法142条)

この場合、労災保険の適用事業主であること、また構成事業主のうち中小企業事業主の割合が全体の5分の1(20%)を超えていることという条件を満たす必要があります。
また、全国または都道府県レベルの団体で、支部がある場合は、その支部の中で1つでも中小企業の割合が5分の1を超えていれば、団体全体としてこの要件を満たすとされます。

このように、助成金を受けるためには「労災保険への加入」と「中小企業の割合」が大きなポイントとなります。

団体推進コースの支給対象となる取組

以下の、いずれか1つ以上を実施します。

  1. 市場調査の事業

  2. 新ビジネスモデル開発、実験の事業

  3. 材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)の事業

  4. 下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業

  5. 販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業

  6. 好事例の収集、普及啓発の事業

  7. セミナーの開催等の事業

  8. 巡回指導、相談窓口設置等の事業

  9. 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業

  10. 人材確保に向けた取組事業

団体推進コース成果目標の設定

支給対象となる取組内容について、事業主団体等が事業実施計画で定める時間外労働の削減、または賃金引上げに向けた改善事業の取組を行い、構成事業主の2分の1以上に対してその取組又は取組結果を活用することを成果目標とします。

団体推進コース成果目標の支給額

「成果目標」の達成に向けて取り組んだ場合に、支給対象となる取組の実施に要した経費の、以下のいずれかで低い方の額が支給されます。

  1. 対象経費の合計額

  2. 総事業費から収入額を控除した額

  3. 上限額500万円(都道府県単位または複数都道府県単位で構成する事業主団体等の場合は1,000万円)

団体の力で実現する生産性向上【令和7年版】働き方改革推進支援助成金|団体推進コース:まとめ

働き方改革の実現には、個々の企業だけでなく、業界や地域全体が一体となって取り組むことが不可欠です。団体推進コースは、そのための強力な制度です。
多様な企業が協力し合うことで、単独では得られない知見や成果を共有し、持続可能な働き方の実現に近づくことができます。本助成金を活用した団体の取組が、業界全体の発展や働く人々の環境向上につながることが期待されます。

厚生労働省:働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000200273.html)を加工して作成