人事考課とは?人事評価との違い

人手不足の現状では、優秀な人材を確保するために人事評価が重要な役割を果たします。
人事評価は、人事考課とも呼ばれることがあります。一般的に人事考課と人事評価の間に明確な違いはありませんが、人事考課は1930年代に客観的な賃金制度を実現するため確立されました。この記事では、人事考課と人事評価の違いを解説します。

人事考課と人事評価の違い

人事考課と人事評価は、両者ともに従業員のパフォーマンスを評価するための手段ですが、その目的と焦点が異なります。

人事考課

人事考課は、主に給与や昇進など労働者の待遇の決定を目的としています。
具体的には、社員一人ひとりについて、職務遂行能力、仕事への取り組み態度、仕事の成果を公平に評価し、それを昇進・昇格、昇給、賞与、配置転換、教育訓練等に活用します。

人事評価

一方、人事評価は、待遇の決定だけでなく、労働者の育成も目的としています。評価結果を能力開発や人材配置に役立て、労働者のスキルアップや業務効率化を図ります。また、人事評価は従業員の仕事の出来や特性の良し悪しを判断することに重きを置いています。

したがって、人事考課は主に「現在のパフォーマンス」に焦点を当て、人事評価は「現在のパフォーマンスと将来の可能性」の両方を考慮します。これらの評価結果は、組織の人事戦略や人材開発の方向性を決定する上で重要な役割を果たします。

人事考課・人事評価の歴史

人事考課の歴史は、1930年代にまで遡ります。当時、荒木東一郎氏がアメリカから学んだ労働者管理の方法論を導入し、客観的な賃金制度を実現するために「人事考課制度」を確立しました。

日本では、1950年代(戦後復興期)から1960年代前半(高度経済成長期)にかけて、年功序列・終身雇用・定期昇給などを採用する企業が一般的でした。しかし、1990年代に入るとバブル経済が崩壊し、日本経済は低成長期に陥り、この時期から社員が達成した結果や業績を重視して給料に反映させる「成果主義」が注目されました。

2000年代に入ると、少子高齢化という新たな課題が浮上しました。また、労働の流動化やグローバル化が進み、新たな人事評価制度が導入されました。主な考え方は次の通りです。

MBO(目標管理制度)

設定した目標の達成度で評価するシステム。

コンピテンシー(行動評価)

仕事ができる社員はどういう行動をしているのかを基準に評価する方法。

360度(多面評価)

直属の上司はもちろん、役員をはじめ、同僚や部下、取引先や顧客などの利害関係者も参加し、公平で説得力があるとされる評価法。

これらの評価手法は、社員を公平で客観的に評価し、適材適所を図ったり、採用や育成面、人事戦略の立案などでも大きく貢献しています。

人事考課・人事評価で適切な配置と育成

人事考課・人事評価制度は、従業員のモチベーションを向上させ、適切な人員配置を実現し、人材育成を促進することを目的としています。

人事考課は従業員のスキルや業務実績、勤務態度等、会社が定めた基準に基づき、従業員を評価します。この評価結果は、昇給や昇進の可否を判断する基準として活用されます。また、人事考課によって評価された結果を基に従業員の給与やその後のキャリアプランが決まることが多く、従業員の人生にもかかわると言えます。

一方、人事評価は、従業員がおこなった業務やその成果をベースにおこなう評価です。人事評価は、従業員の給与やボーナスといった報酬に直結するため、従業員からの不満が出やすいところといえます。
しかし、適切な評価・フィードバックを行うことで従業員の納得感が生まれます。その結果、努力の方向性への理解を深め、士気も高まることで、ひいては企業の生産性向上も期待できるでしょう。

人事考課とは?人事評価との違いを解説:まとめ

人事考課は、企業が定める基準に基づき、社員の能力や業績、勤務態度などを査定するもので、一般的には昇格や昇進、ボーナス支給時の評価・査定として行われています。しかし、その方法や評価基準は時代とともに変化してきました。

特に近年では、情報化社会や働き方の多様化に対応するため、新たな評価方法や制度が導入されています。例えば、AIなどのテクノロジーを活用した「HR Tech(Human Resources Technology)」が導入され、人事領域における業務効率化が進行しています。中でも、勤怠管理と人事労務が同時に実現するシステムは、人事考課・人事評価に役立ちます。

テクノロジーは時代とともに大きく進化しています。人事考課・人事評価の基準も時代と共に変化していくべきであると言えるでしょう。