【サービス残業は労基法違反】適正な管理で賃金不払残業を無くそう

賃金不払残業とは、いわゆるサービス残業のことを指し、長時間労働や過重労働の温床になってきました。残業代(割増賃金)が支払われないということは、労働基準法違反になり、従業員の自主的なサービス残業も違法として扱われる可能性があります。
この記事では、サービス残業を防止する取り組みについて紹介します。
Contents
サービス残業とは
賃金不払残業(サービス残業)とは「所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせること」です。
これは労働基準法に違反する、あってはならないものとされています。法定時間外労働に対する割増賃金の支払は労働基準法第37条で決められています。
厚生労働省の令和3年度「監督指導による賃金不払残業の是正結果」によると6万4,968人の対象労働者数において、是正数は1,069企業。うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、115もの企業数となり、いづれも前年度より増加しています。
支払われた割増賃金合計額は、実に65億781万円と、未だにサービス残業が無くならないことを示しています。

サービス残業を防ぐには
企業・使用者に求められる役割
労働基準法は、労働時間、休日、深夜業等について使用者の遵守すべき基準を規定しています。つまり、使用者は労働時間を適正に把握する必要があり、サービス残業が生じないように、適正に労働時間を管理する責任があるということです。
サービス残業を防ぐには、単に使用者が労働時間の適正な把握に努めるだけでなく、職場風土の改革、適正な労働時間の管理を行うためのシステム、責任の明確化など、全体的な管理体制と整備が必要です。
(1)労働時間適正把握ガイドラインの遵守
使用者は、サービス残業を防ぐため、労働時間適正把握ガイドラインを遵守する必要があり、労働者にも周知を行うようにします。
(2)職場風土の改革
職場の中にサービス残業はやむを得ないという意識(職場風土)が反映されている場合が少なくありません。こうした労使双方の意識をなくすため、例えば
経営トップ自らによる決意表明、社内巡視等による実態の把握
労使合意による賃金不払残業撲滅の宣言
企業内又は労働組合内での教育
などの取組が望まれます。
(3)適正な労働時間管理を行うシステムの整備
適正に労働時間の管理を行うためのシステムの確立
サービス残業をなくすには、職場において適正に労働時間を管理するシステムを確立し、定着させる必要があります。
その際に、特に、始業及び終業時刻の確認及び記録は使用者自らの現認又はタイムカード、勤怠管理システム等の客観的な記録によることが原則であって、自己申告制は、やむを得ない場合に限られます。
労働時間の管理のための制度等の見直しの検討
必要に応じて、現行の労働時間の管理のための制度やその運用、さらには仕事の進め方も含めて見直すことが望まれます。
特に、サービス残業を前提とする業務遂行が行われている場合には、サービス残業の温床となっている業務体制や業務指示の在り方にまで踏み込んだ見直しが必要です。
サービス残業の是正を考慮した人事考課の実施
サービス残業を行った労働者や、これを許した現場責任者の評価を低くする等により、適正な労働時間の管理を意識した人事労務管理を行うとともに、こうした意識づけを現場レベルで徹底することも重要となります。
(4)責任者の明確化とチェック体制の整備
労働時間を適正に把握し、サービス残業を解消するためには、各事業場ごとに労働時間の管理の責任者を明確にしておくことが必要となります。
特に、サービス残業が実際に行われていたり、又は過去に行われていた事業場については、例えば、同じ指揮命令系統にない複数の者を、労働時間の管理の責任者とすることにより労働時間のダブルチェックを行うなど、厳正に労働時間を把握できるようにすることが望まれます。
サービス残業防止のための取り組み事例
事例1 業種:教育研究業
労働時間の未把握、固定残業代
労働条件・安全管理体制等の状況を確認すべく、労基署が私立学校に監督指導を実施。
出勤簿による押印のみで労働時間が全く把握されていなかった。また、使用者の指揮命令下で行われていた部活動等の業務をボランティアとし、労働時間として扱っていなかった。
固定残業代として基本給の4%にあたる「教職調整手当」を支払っていたが、労働時間を把握しておらず、実際支払うべき割増賃金に対して不足している可能性があるため、不払となっている割増賃金の有無について調査を行い、不足が生じている場合には割増賃金を支払うよう指導。
実施した解消策
労働者へのヒアリングなどを基に不払が生じている労働時間数について調査を行い、部活動の時間も含め不払となっていた割増賃金を支払った。
賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。
出勤簿による管理を廃止し、勤怠管理システムを導入し適正に始業・終業時間を記録することにより、適切に割増賃金を支払うこととした。
使用者の指揮命令下で行われたにもかかわらず労働時間として取り扱っていなかった業務について、労働時間として適正に取り扱うこととした。
管理者が労働者に対し、労働時間の管理等が不適切であった現状を説明し、労使一丸となり適正な労働時間の管理を行う重要性について認識を共有した。
事例2 業種:建設業
労働時間の実態調査未実施
一定時間以上の残業時間に対する残業代が支払われない」との情報を基に、労基署が監督指導を実施。
労働時間は、出退勤時間を勤怠システム、残業時間を残業申請書により把握していた。
残業申請書において残業時間として申請されていない時間に、パソコンを使用した記録が残されていた。また、勤怠システムの退勤時刻の記録と施設警備システムに記録された時間に乖離が認められたため、労働時間記録とパソコンの使用記録等との乖離の原因及び不払となっている割増賃金の有無について調査を行い、不払が生じている場合には割増賃金を支払うよう指導。
実施した解消策
パソコンの使用記録や施設の警備システム記録、労働者へのヒアリングなどを基に乖離の原因や割増賃金の不払の有無について調査を行い、不払となっていた割増賃金を支払った。
賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。
賃金不払残業が発生した1つの要因として、残業時間が長くなると個人の評価に影響があると考え、残業時間を過小に申告していたことが実態調査において判明した。そのため、適正な労働時間管理に関することを人事評価の項目として新しく設けることや管理者が労働者に労働時間を正しく記録することについて継続的に指導を実施し、労働時間を適正に記録する意識の醸成を行った。
専属で勤怠管理を行う者を配置し、勤怠記録に乖離がないか逐一確認出来る体制を整備した。
【サービス残業は労基法違反】適正な管理で賃金不払残業を無くそう:まとめ
サービス残業は、長時間労働や過重労働を招きます。企業や使用者だけの問題ではなく、未だに職場の中にサービス残業があたりまえという職場風土が残っています。
まず、こういった慣習をなすためにも、管理者は従業員の残業時間を常に把握することが重要です。
残業時間の取得実績状況を確認し、残業の上限時間を超過している従業員への対応や残業時間抑制の取り組みを行うことができる勤怠管理システムを導入することで、管理者の負担を軽減しながらサービス残業防止を行うことが可能です。
労基法違反を起こさないために、管理体制と整備を行っていきましょう。
厚生労働省:
賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針
(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-3a.pdf)
賃金不払残業の解消のための取組事例
(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/chingin-c_r03_03.pdf)
(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002lrsc-att/2r9852000002lsc5.pdf)
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