ポータブルスキル時代の人材確保と育成の重要ポイント

ポータブルスキルとは、職種の専門性以外に、どのような仕事に就いていても持ち運びができる職務遂行上の能力を指します。“ポータブル”という言葉が示すとおり、転職しても部署を異動しても持ち運びができ、汎用的に活用できるスキルです。
この記事では、変化の激しいビジネス環境において重要度が増している、ポータブルスキルを持つ人材確保や育成について紹介します。

ポータブルスキルの要素

ポータブルスキルの要素は「仕事の仕方(対課題)」と「人との関わり方(対人)」において、9要素あります。
【仕事の仕方】は仕事における前工程から後工程のどこが得意かを見ており、【人との関わり方】はマネジメントだけでなく、経営層や、上司、お客様など全方向の対人スキルを見ます。それぞれの要素は以下のようになります。

仕事の仕方

現状の把握

取り組むべき課題やテーマを設定するために行う情報収集やその分析の仕方

課題の設定

事業、商品、組織、仕事の進め方などの取り組むべき課題の設定の仕方

計画の立案

担当業務や課題を遂行するための具体的な計画の立て方

課題の遂行

スケジュール管理や各種調整、業務を進めるうえでの障害の排除や高いプレッシャーの乗り越え方

状況への対応

予期せぬ状況への対応や責任の取り方

人との関わり方

社内対応

経営層・上司・関係部署に対する納得感の高いコミュニケーションや支持の獲得の仕方

社外対応

顧客・社外パートナー等に対する納得感の高いコミュニケーションや利害調整・合意形成の仕方

上司対応

上司への報告や課題に対する改善に関する意見の述べ方

部下マネジメント

メンバーの動機付けや育成、持ち味を活かした業務の割り当ての仕方

これらの要素を身につけることで、職種や業界を問わず活用できるポータブルスキルを磨くことができます。

ポータブルスキルを持つ人材確保のメリット

組織全体の能力向上

ポータブルスキルを持つ人材が増えると、個々のスキル向上とチームワークの強化により、組織全体の能力が底上げされます。

人材の即戦力化

ポータブルスキルを持った人材は、必要な技能や知識を積ませれば、そのまま即戦力としての働きが期待できます。

人事評価の客観化

ポータブルスキルと評価基準を連携させると、業績や経験だけでは分からない従業員の能力や人柄を把握することができます。

雇用の流動性への対応

終身雇用や年功序列を基盤とした日本型雇用制度は依然一定の影響力を持ちつつも、経済環境の変化や多様な働き方の広がりで変化しています。成果主義やジョブ型雇用の導入が進み、雇用の流動性も高まっているため、汎用性の高いスキルを持った人材の重要性が増しています。

ポータブルスキルの測定方法

厚生労働省の職業情報提供サイトでは、ポータブルスキルを測定し、それを活かせる職務、職位を提示するツールが用意されています。特に、ミドルシニア層のホワイトカラー職種の方がキャリアチェンジ、キャリア形成を進める際の利用を想定しています。
またこのツールは、キャリアコンサルタント等の支援者が求職者や相談者等に対し相談支援を行う際に活用することを前提としています。

測定ツールを活用することで、企業は従業員のポータブルスキルを効率的に伸ばすことができます。
ただし、このツールは一部のポータブルスキルを測定するものであり、全てのポータブルスキルを網羅しているわけではなく、またあくまで参考の一つであり、最終的なキャリアの選択は個々の経験や興味、価値観などを、企業が考慮することが必要です。

ポータブルスキル見える化ツール
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/VocationalAbilityDiagnosticTool/Step1

ポータブルスキルを持つ人材を確保するには

ポータブルスキルを持った人材を採用する

企業は、採用時にポータブルスキルを持った人材を優先的に採用することで、社内にポータブルスキルを持った人材を増やすことができます。

ポータブルスキルを向上させる研修を実施する

企業は、従業員のポータブルスキルを向上させるために、社内研修や外部研修を実施することができます。また、厚生労働省が提供するポータブルスキルの活用マニュアルや動画教材を研修で活用することも可能です。

ポータブルスキルを身に付けるキャリアパスを整える

企業は、従業員がポータブルスキルを身に付けるためのキャリアパスを整えることができます。

目標管理制度の整備

企業は、従業員に業務目標の設定や申告をしてもらい、目標への進捗や結果を主体的に管理してもらうことで、ポータブルスキルの向上を促すことができます。

評価制度や目標を明確にする

企業は、評価制度や目標を明確にすることで、従業員が自身のスキル向上や業務への意識や質の向上を図ることができます。

これらの方法を通じて、企業は従業員のポータブルスキルを効率的に伸ばすことができます。

ポータブルスキル時代の人材確保と育成の重要ポイント:まとめ

ポータブルスキルは、仕事の仕方と、人との関わり方という二つの要素に基づいており、これらを身につけることで、どの職種や業界においても優れた能力を発揮できるようになります。
組織全体の能力向上、即戦力化、人事評価の客観化、そして雇用の流動性に対応するメリットがあります。さらに、厚生労働省のポータブルスキル見える化ツールを活用することで、企業は従業員のスキルを的確に評価し、戦略的に育成する手段を得ることができます。
また、採用段階でポータブルスキルを持つ人材を見つけるためには、人事労務データベースを活用すると効率的です。

企業は積極的にポータブルスキルの重要性を理解し、戦略的に活用することで、変化の激しいビジネス環境において競争力を維持し、成長を遂げることができるでしょう。

厚生労働省:ポータブルスキル見える化ツール(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23112.html)を加工して作成