【介護職員の離職防止】不満を解消し人材確保を

厚生労働省の第9期介護保険事業計画の公表資料によれば、2026年度の介護職員の必要数は約240万人とされています。一方、2023年10月1日時点の介護職員数は約212.6万人。前年より約2.9万人減少となりました。※
原因の多くは、介護職員の採用が困難であること、離職率の高さです。これには介護職の給与の低さや職場の人間関係が影響しています。
介護職員の離職を減らし、人材を確保するためには、労働環境の改善や給与の見直しなど、具体的な施策を実行することが不可欠です。この記事では、介護職員の悩み・不満や、離職の原因等の調査データを確認することで、介護職員の離職を防止する方法を探っていきます。
※【出典】厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2024年7月発表)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41379.html)/介護職員数の推移の更新(令和5年分)について(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47882.html?utm_source=chatgpt.com)
Contents
介護職員の不足状況
介護保険法の施行以来、要介護(要支援)認定者数は増加しており、それに伴い介護職員数も増加してきました。

【出典】 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(介護職員数)、「介護保険事業状況報告」(要介護(要支援)認定者数)
しかし、需要に対し供給が追いつかず、特に訪問介護職員の人手不足が強まっています。さらに、2023年には介護職員数が減少に転じてしまいました。
そもそも介護職員の採用自体が困難であることが多く、その理由として、同業他社との人材獲得競争が厳しい、他産業に比べて労働条件等が良くない、介護業界へ人材が集まらないなどが挙げられています。

【出典】(公財)介護労働安定センター「介護労働実態調査」
介護職員の離職理由とは
「介護職員を募集しても応募がない」と悩む介護施設が多いようですが、まず現在の介護職員の離職防止のために、悩み・不安・不満を知り、解消していく必要があります。
介護職員の労働条件等の悩み・不安・不満
介護職員の主な労働条件等の悩み・不安・不満として「人手が足りない」「仕事内容の割に賃金が低い」ことに対するものが多くあります。

介護の仕事をやめた理由
介護職員の離職理由として、「職場の人間関係に問題があったため」と回答する割合が、最も高い結果となりました。

労務管理の課題
介護施設は交代制で働くシフト勤務であるため、少しでも効率よく人材を配置することが求められます。シフト勤務では多数の労働者の勤務時間がそれぞれ異なるため、勤怠管理が複雑です。
介護付き有料老人ホームなどには、介護保険法に基づき省令や通知等で職員配置基準が定められており、これを下回った場合は算定基準に従って介護報酬の減算が行われます。介護現場では同一日付内に2回目の出勤を行う勤務シフトも発生する中、法令で必要な数の職員を配置し、勤務時間を正確に記録しなければならず、管理者にも大きな負担がかかっています。
また、介護職員の有給休暇の付与・消滅について、基準日や付与期間が従業員によって異なるため管理が難しい点も課題のひとつです。
介護職員の離職防止策
人間関係の悩み解消策
介護職員に人間関係の悩みが多い理由として、介護に関わる人の多様性があります。
介護の仕事は、介護職員の他に看護師・医師など異なる職種のスタッフや、入所者や入所者の家族など様々な人と密接に関わることになります。特に、認知症の入所者はコミュニケーションを取りづらいため、うまく人間関係を形成できない場合があります。
介護職員は他業種に比べ、働く人のストレスが大きく、メンタルヘルス上の問題が発生しやすい職種と言えます。
介護事業者は、ストレスチェックを行う、メンタルヘルスに関する相談窓口を設置する、外部の専門家や専門機関と連携するなど、介護職員のメンタルヘルス対策が必要でしょう。
ストレスチェック
ストレスチェックとは、従業員がストレスに関する質問に答え、集計・分析することで、どのようなストレス状態にあるのかを調べる検査です。「労働安全衛生法」が改正され、労働者が50人以上いる事業所では、毎年1回この検査を全ての労働者に対して実施することが、2015年12月から義務化されています。
参考記事:ストレスチェック制度を活用しよう!
収入の少なさに対する不満解消策
国の取り組み「処遇改善加算」
介護職員の人材確保を更に推し進め、介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへとつながるよう、令和6年6月以降、処遇改善に係る加算の一本化と、加算率の引上げが行われます。新加算の算定要件は、①キャリアパス要件、②月額賃金改善要件、③職場環境等要件、の3つとなります。
国は、令和7年度以降の新加算の完全施行までに、令和6年度のスケジュールを踏まえ計画的な準備を求めています。(6年度末まで経過措置期間)

出典:厚生労働省 「処遇改善加算」の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算) (https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001218748.pdf)
負担の大きさ・休暇の取りにくさ解消策
介護施設における労務管理の課題を解決
労務管理の課題解決策として勤怠管理システムが挙げられます。
勤怠管理システムを利用することで効率的にシフト管理ができますので、導入する介護施設が増えています。
また、複雑な有給休暇の付与・消滅を効率化できると同時に、有給休暇の計画的付与を活用することで、不満を解消し人手不足解消の方法のひとつとなるでしょう。

【介護職員の離職防止】不満を解消し人材確保を:まとめ
介護職員の離職を減らし、人材を確保するためには、労働環境の改善や給与の見直しなど、具体的な施策を実行することが不可欠です。介護職員の悩み・不安・不満を解消し、労働条件を改善するなど離職防止策を行っていくことで、介護職員の離職防止や採用の増加が期待されます。
介護職員のニーズに応えることから始め、誰もが安心して働ける職場環境を整えることで、離職を防止し人材確保につなげていきましょう。
厚生労働省:介護労働の現状と介護雇用管理改善等計画について(https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000710388.pdf)を加工して作成
