「物流2024年問題」対策のポイント

「物流2024年問題」とは、働き方改革関連法によって、2024年4月1日以降「自動車運転の業務」に対し、年間の時間外労働時間の上限が年間960時間に制限されることで発生する諸問題の総称です。
この上限規制は、トラックドライバーの労働環境の改善のためのものですが、労働時間が短くなることで輸送能力が不足することが予測され、大きな問題となっています。この記事は「物流2024年問題」について現状と対策について紹介します。
Contents
【物流2024年問題】1. 物流業界の現状
物流分野における労働力不足が近年顕在化しており、トラックドライバーが不足していると感じている企業は増加傾向にあります。物流業界のトラックドライバーは若年層が少なく中年層が多いこともあり、将来的にも人材不足が懸念されています。


出典:経済産業省 我が国の物流を取り巻く現状と取組状況(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf)
また、トラックドライバーが荷物の引受先の搬入のために長時間の待機を余儀なくされたり、荷降ろし作業を求められることが常態化していると言います。厚生労働省の調査では、トラックドライバーの労働時間は全業種の平均よりも2割長くなっていますが、これらも要因のひとつと言えるでしょう。
【物流2024年問題】2. 労働時間規制がもたらす問題点
働き方改革関連法は2019年に施行されましたが、建設業や医師、自動車運転業務など一部の業種の長時間労働の背景に、業務の特性や取引慣行の課題があるため、2024年3月31日までの5年間、法改正への適用に向けた猶予期間が設けられていました。
しかし、これらの業種についても2024年4月1日から時間外労働時間の上限規制が適用されます。
物流業界は、労働時間がそのまま売上に影響する労働集約型の産業ですので、以下のような問題が起こることが想定され、物流2024年問題として危惧されています。
ドライバーの労働時間が制限されると、これまでと同じ量の業務に対応できなくなる。
労働時間削減により企業が請け負える業務量も減少することから、全体的な売上減少に繋がることが予測される。
時間外労働により割増賃金の支払額が増加すると、中小企業は人件費が大幅に増額されるため収益低下が予測される。
ドライバーの給与が下がると転職者が出るおそれもあるため、人材不足の加速につながる。
【物流2024年問題】3. 対策のポイント
物流効率化における荷主の取組
出荷・入荷の条件決定には発・着荷主が大きく関わっています。
物流2024年問題対策には、物流機能と調達・生産・販売・回収などの分野を総合的に考えるロジスティクスの視点から、荷主の積極的な取組が重要です。
荷主の取組例
パレット化による作業負荷の削減
荷積み・荷卸しに係る荷待ち時間の削減
共同輸配送などの効率的な輸送の実現
また、物流2024年問題対策には、ドライバーの労働環境改善や働き方改革に取り組むための適正な運賃を設定する必要があります。
燃料費、人件費の上昇分の負担を拒むことのないように貨物自動車運送事業者と協議の上、燃料費の上昇分を反映した適正な運賃・料金への見直しを行うことが必要です。
実際に、荷主側でも物流2024年問題対策を進める動きが出ています。
中部地方を中心にスーパーなどおよそ1300店舗を展開するチェーンでは、トラック予約システムを導入し、ドライバー側が空いている時間をあらかじめ予約する仕組みに改めました。この結果、岐阜県内にある物流センターの1つでは、以前は平均1時間半に及んでいたドライバーの待機時間が、20分程度にまで短縮したそうです。
消費者の協力の重要性
物流2024年問題対策には消費者の協力も重要です。物流が滞ると消費者に荷物が届かない可能性があることを認識し、以下のような取り組みが求められます。
消費者の取組例
確実な受け取り日時や場所の指定
配送時に受け取り可能な日時や場所を明確に指定することで、再配達の必要性を減らします。宅配ボックス・ロッカーの利用や置き配の推進
荷物を安全に受け取るために、宅配ボックスやロッカーを活用することで、不在時の再配達を防ぎます。注文回数の減少
頻繁な小口の注文をまとめて行うことで、配送回数を減らし、再配達の機会を減少させます。
【物流2024年問題】対策のポイント:まとめ
「物流2024年問題」とは、働き方改革関連法によって、2024年4月1日から「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用されることで運送・物流業界に生じる諸問題です。
運送会社では収入減少によるドライバーの離職や売上の減少が懸念され、荷主企業にとっても運賃値上げの可能性が危惧されます。
「物流2024年問題」は物流業界だけでなく、すべてに影響を与えるため、荷主側でも対応を進める動きが出ており、国も本腰を入れて対策を検討しています。物流業界今後も荷主や消費者も含め、日本全体で取り組みが必要となるでしょう。
参考:経済産業省/我が国の物流を取り巻く現状と取組状況
(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf)
