派遣労働者がテレワークを行う場合の注意点

テレワークの普及に伴い、中小企業においても大きな変革が進みました。現在でもオフィスの縮小や柔軟な働き方の導入などにより、派遣労働者に関してもテレワークを行うケースが増えています。その場合、派遣労働者ならではの注意点がいくつかあります。
この記事では、派遣労働者がテレワークを行う場合の注意点について紹介します。
Contents
派遣労働者のテレワーク:契約内容
派遣労働者がテレワークを行う場合の労働者派遣契約
労働者派遣契約には、派遣先の事業所だけでなく、具体的な派遣就業の場所を記載するとともに、所属する組織単位及び指揮命令者についても明確に定める必要があります。このため、労働者派遣契約には、例えば、次のとおり記載することが考えられます。
例1:派遣先の事業所に出社する就業を基本とし、必要に応じて就業する場合
派遣先の事業所:○○株式会社○○営業所
就業の場所:○○株式会社○○営業所○○課○○係(〒000-0000 ○○県○○市○○○ Tel:000-0000)ただし、必要に応じて派遣労働者の自宅
組織単位:○○株式会社○○営業所○○課
指揮命令者:○○株式会社○○営業所○○課○○係長○○○○
例2:テレワークによる就業を基本とし、必要な時(週1〜2日程度)に派遣先の事業所に出社して就業する場合
派遣先の事業所:○○株式会社○○営業所
就業の場所:派遣労働者の自宅
ただし、業務上の必要が生じた場合には、○○株式会社○○営業所○○課○○係での週1~2日程度の就業あり(〒000-0000 ○○県○○市○○○○ Tel:000-0000)組織単位:○○株式会社○○営業所○○課
指揮命令者:○○株式会社○○営業所○○課○○係長○○○○
例3:自宅に準じる場所(例えば、サテライトオフィスや特定の場所)で就業する場合
派遣先の事業所:○○株式会社○○営業所
派遣先所有の所属事業場以外の会社専用施設(専用型オフィス)又は派遣先が契約(指定)している他会社所有の共用施設(共用型オフィス)のうち、派遣労働者が希望する場所
組織単位:○○株式会社○○営業所○○課
指揮命令者:○○株式会社○○営業所○○課○○係長○○○○
派遣労働者がテレワークのみで就業する場合
労働者派遣契約において、自宅等の具体的な派遣就業の場所を記載します。派遣労働者と打合せを行う場合等に派遣先の事業所等で派遣就業を行う可能性がある場合には、必ずその旨を明記します。
また、派遣労働者が、通常の労働者派遣の取扱いと同様に、派遣元責任者及び派遣先責任者に迅速に連絡をとれるようになっていることや、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」に基づいた雇用管理が必要となります。
参照:厚生労働省/情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン
(https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000690830.pdf)
訪問巡回
「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」では、定期的に派遣労働者の就業場所を巡回するとされていますが、派遣労働者が自宅でテレワークを実施する場合は以下となります。
派遣元事業主は、派遣先を定期的に巡回すること等により、派遣労働者の就業状況が労働者派遣契約の定めに反していないことの確認等を行うこととされています。ここでいう派遣先とは「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」のみならず、具体的な派遣労働者の就業場所がこれらと異なる場合には当該就業場所も含むものです。
また、派遣先は定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認することとされています。
ただし、派遣労働者に対して自宅でテレワークを実施させるときは、就業場所は自宅となり、派遣労働者のプライバシーにも配慮が必要なので、例えば、電話やメール、ウェブ面談等により就業状況を確認することができる場合には派遣労働者の自宅まで巡回する必要はありません。
なお、派遣労働者のテレワークが労働者派遣契約に反せず適切に実施されているかどうか、派遣労働者の就業の状況を実際に確認できることが必要であり、そのためには、例えば、
派遣先の指揮命令の方法等をあらかじめ派遣労働者と合意し、労働者派遣契約等において定めておくこと、
日々の派遣労働者の業務内容に係る報告を書面(電子メール等の電子媒体によるものを含む。)で明示的に提出させること等により確認すること
などが考えられます。

派遣労働者のテレワーク:環境の整備
環境の整備
派遣労働者が自宅等でテレワークを実施するためのPCやインターネット環境等の設備に係る費用について、派遣労働者に一方的に負担を強いるようなテレワークの実施は望ましくありません。
仮に、派遣労働者に対してテレワークに要する機器等の費用負担をさせる場合には、あらかじめ労使で十分に話し合い、当該事項について派遣元事業主の就業規則に規定する必要があるとともに、テレワークによる労働者派遣に係る就業条件の明示の際に併せて派遣労働者に説明をしておくことが望ましいとされています。
トラブル防止の観点から、労働者派遣契約において、派遣元、派遣先の間の費用負担の在り方について、あらかじめ定めておきましょう。
休憩時間
派遣労働者がテレワークを行う場合でも、社員のテレワークと同様に休憩時間を与えることが必要です。派遣社員の在宅勤務も労働基準法の対象となるため、適切な労働時間管理と休憩時間の付与が求められます。
参照記事:どうする?テレワークの休憩時間 |様々なケースの扱い方をわかりやすく解説
情報セキュリティ
派遣労働者のテレワークについても、情報セキュリティ対策は重要です。社員と同じように、情報漏えいに対する危機意識を持ってもらうようにします。
参照記事:【情報セキュリティ】テレワーク導入企業必見!営業秘密を法的に保護するために
なお、テレワークを行う上でのセキュリティ対策に係る教育については、派遣先において実施することや、派遣先に関わらず必要となるものについては、雇入れ時の安全衛生教育等と合わせて、雇用主である派遣元事業主において実施することが考えられます。
派遣労働者が自宅等でテレワークを実施する場合、万一情報セキュリティに係る問題が発生した場合の責任の所在については、あらかじめ派遣元事業主と派遣先でよく話し合った上で、労働者派遣契約に規定しておくことが望ましいとされています。
派遣労働者のテレワーク:労務管理
派遣先はテレワークの場合にも、通常の取扱いと同様、派遣先管理台帳に派遣就業をした日ごとの始業及び終業時刻並びに休憩時間等を記載し、派遣元事業主に通知することが必要です。
派遣元事業主は、派遣先を通じて労働時間を把握するに当たり、ガイドラインの取扱いについて派遣先とよく認識を共有するとともに、テレワークの実施とあわせて、始業・終業時刻の変更等を行う場合は、就業規則に記載することが必要となります。
参照記事:テレワークの勤怠管理を正確に
参照:厚生労働省/情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラン
(https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000690830.pdf)
派遣労働者がテレワークを行う場合の注意点:まとめ
派遣労働者のテレワークでは、労働者派遣契約において派遣先としっかりと指揮命令の方法を合意し、労働者の業務内容に関する報告を明示的に提出することで、労働時間の適切な管理が必要です。
派遣先はテレワークの場合でも通常の取扱いと同様、労働時間の把握に努め、派遣元との共有を図るとともに、テレワーク実施に伴う始業・終業時刻の変更等を適切に就業規則に記載することが大切です。
派遣労働者のテレワークの労働時間を適正管理するためには、集計ルールを詳細に設定できる勤怠管理システムを利用するとスムーズです。派遣元、派遣先共に、指針やガイドラインを遵守し、円滑なテレワーク環境を整えるよう心掛けましょう。
厚生労働省:派遣労働者等に係るテレワークに関するQ&A(https://www.mhlw.go.jp/content/000734554.pdf)を加工して作成
