無期転換ルール3タイプの契約方法

無期転換ルール 3タイプの契約方法

無期転換ルールとは、同一の企業との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、契約社員やアルバイトなどの有期契約労働者からの申込みにより、期間の定めのない労働契約である無期労働契約に転換される規則で、2013年から施行されています。

ただし「無期労働契約=正社員」というわけではありません。転換方法には主に3タイプがありますので、有期契約労働者それぞれをどのように位置づけ活用していくかを考える必要があります。
この記事では無期転換ルールについて、また転換方法について詳しく解説します。

無期転換ルールの概要

有期契約労働者は全国で約1,560 万人※1、また別の調査では、約3割が通算5年を超えて有期労働契約を更新※2しています。無期転換ルールは、これら有期契約労働者の雇止めの不安解消や処遇の改善のため、無期契約化を図り雇用を安定化させる目的で制定されました。

※1 総務省「平成29年労働力調査」より
※2 厚生労働省「平成23年有期労働契約に関する実態調査報告書」より

無期転換ルールでは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されます。無期転換ルールは、企業の規模にかかわらず、全ての企業が対象となります。

無期転換申込権の発生時期

無期転換ルールでは、契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に、 契約期間が3年の場合、1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生します。有期契約労働者が使用者(企業)に対して無期転換の申込みをした場合、無期労働契約が成立し、使用者は断ることができません。

無期転換ルール

出典:厚生労働省 無期転換ルールハンドブック

無期転換ルールの転換方法3タイプ

有期契約労働者の無期転換方法には、主に次の3タイプがあります。

無期転換ルールタイプ1. 雇用期間の変更

契約期間のみを変更する転換です。無期転換の申込みがなされると、有期労働契約が無期労働契約となります。労働契約の中では、「契約期間」を「期間の定めがないもの」とすることで足ります。なお、定年制を定めることは認められます。

  • 無期労働契約の労働条件(賃金等)は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となります。
  • 無期転換前と比べ、職務や処遇を変更する必要がない社員が対象です。
  • 労働条件を変更せず、期間の定めをなくす選択肢が考えられます。

無期転換ルールタイプ2. 多様な正社員への転換

多様な正社員とは、正社員と比較して勤務地や労働時間、職務などの労働条件に制約を設けた正社員です。多様な正社員では、転勤がない、残業時間に制限を設けることなどで、働き方に制約がある社員が働き続けやすいなどのメリットがあります。

  • 子育てや介護と仕事の両立を図りたい社員や、特定職務の仕事を希望する社員などが活躍できます。
  • 職務能力や職務内容はいわゆる「正社員」と同等でありながらも、家庭の事情等から、転居・転勤を伴う異動が行えないために勤務地に制約があったり、正社員と同じ時間だけ働くことができないような社員が対象です。
  • 登用試験や面接などで的確に能力などを見極めた上で、「多様な正社員」として処遇するという選択肢が考えられます。

無期転換ルールタイプ3. 正社員への転換

業務内容に制約がなく入社後定年に達するまで勤務することを想定した、一般に正社員・総合職等と呼ばれるいわゆる「正社員」への転換です。

  • キャリアアップを図り、中核労働力としてより会社に貢献したいと考える社員が活躍できます。
  • 職務能力や職務内容がいわゆる「正社員」と同等の社員が対象です。
  • 登用試験や面接などで的確に能力などを見極めた上で、「正社員」として処遇するという選択肢が考えられます。

働き方改革関連法との関連性について

無期転換ルールに基づき無期労働契約に転換した場合、その後の労働条件は原則として直前の有期労働契約と同一となりますが、「働き方改革関連法」によって定められた新たな労働時間管理や休暇取得のルールが適用されることになります。

例えば、時間外労働の上限規制により、無期転換後の労働者も原則として月45時間・年360時間を超える時間外労働は認められません。また、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対しては、年5日以上の有給休暇の取得が義務付けられています。
無期転換後の働き方を検討する際には、「働き方改革関連法」の内容を踏まえ、法令を遵守した労働条件を設定することが重要です。

無期転換のメリット・デメリット

無期転換のメリット

有期社員が無期労働契約に転換することにより、次のメリットが期待されます。

  1. 企業の実務に精通する無期労働契約の社員を、比較的容易に獲得できる。
  2. 企業は長期的な視点で人材育成ができる
  3. 労働者は安定的かつ意欲的に働くことができる
  4. 無期転換を行うことで、一定の受給要件を満たせば助成金を受給できる

無期転換のデメリット

無期転換ルールには、上記のように多くのメリットがありますが、一方以下のようなデメリットも考えられます。

  1. 経営状況に合わせた雇用人数や、人件費の調整が難しくなる。
  2. 有期雇用から無期雇用に転換した人数が多く、正社員と同一の労働条件となれば、人件費等が大幅に増大することになり経営を圧迫する可能性がある。
  3. 無期転換者と有期社員との間で、労働条件において差がない場合には、処遇に対する不公平感を生み出し、問題が発生するおそれがある。

無期転換を進めるためのチェック事項

無期転換後の労働条件等を検討

有期社員の仕事の内容を確認し、人材活用方法とともに、無期転換後の役割や処遇を考えましょう。

無期転換後の就業規則等について検討

有期労働契約時と同じ条件とするか、仕事の内容や処遇などを変更するかを考えましょう。

(必要に応じて)有期社員向けの就業規則の見直しを検討

無期転換社員との区別を明確化するために、必要に応じて見直しを行いましょう。

(必要に応じて)正社員の就業規則の見直しを検討

無期転換社員との区別を明確化するために、必要に応じて見直しを行いましょう。

対象社員への説明

対象となる有期社員への制度導入等についての説明や労働組合との協議などを進めましょう。

無期転換ルール 3タイプの契約方法:まとめ

無期転換には3タイプの方法があり、有期契約労働者それぞれをどのように活用していくかを考える必要があります。

  1. 契約期間のみを変更する転換
  2. 勤務地や労働時間、職務などの労働条件に制約を設けた多様な正社員への転換
  3. 業務内容に制約がなく、一般に「正社員」「総合職」への転換

無期転換をスムーズに進める上で大切なのは、制度の設計段階から労働者との間でコミュニケ―ションをしっかりと取ることです。労働者から不満や反発が出ることのないよう、丁寧な説明を心がけるとともに、円滑に転換が行われているかを把握し、必要に応じて改善を行うことが望まれます。

厚生労働省:無期転換ルールハンドブック(https://muki.mhlw.go.jp/policy/handbook2018.pdf)を加工して作成