【過労死対策】労働時間管理の徹底を

過労死対策

新型コロナウイルス感染拡大により、公務員、医療・介護関係者の長時間労働が問題になっていますが、一般企業でもテレワークが増えたことで、労働時間管理の難しさから「隠れ残業」が増えました。
長時間労働は、最悪過労死につながる大きな問題です。企業の管理職には、従業員の労働時間管理など徹底した過労死対策が求められます。この記事では、企業が行うべき過労死対策について紹介します。

令和6年の過労死対策については、以下をご覧ください。
【過労死の現状】令和6年過労死等防止対策白書をわかりやすく解説

過労死対策について

「過労死等」の定義は、過労死等防止対策推進法第2条により、以下のとおりです。

  • 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
  • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
  • 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

労働時間管理と同時に、心理的ストレス等も含め、過労死対策を考えていきたいと思います。

過労死等防止対策白書

厚生労働省では、過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書で、過労死等の概要や政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況を取りまとめています。

これを、「過労死等防止対策白書」といい、実際の労働時間や過労死等の現状などを、調査・分析結果を確認することができます。

過労死対策のために 1.負荷要因を知る

労災認定事案の分析

平成22年4月から平成30年3月までに認定された脳・心臓疾患事案2,280件、精神障害事案3,517件を分析した結果、脳・心臓疾患事案について、発症前6か月の労働時間以外の負荷要因は、「拘束時間の長い勤務(30.1%)、「交代勤務・深夜勤務」(14.3%)、「不規則な勤務」(13.3%)が多く、業種別の特徴として、「医療,福祉」、「建設業」では、「精神的緊張を伴う業務」が他の要因と比べて多くなっていました。

労災認定事案の分析

平成24年4月以降の精神障害事案(2,879事案)について具体的出来事別にみると、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」(21.9%)、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(17.7%)、「上司とのトラブルがあった」(15.5%)が多くなっていますが、「2週間以上にわたって連続勤務を行った」についても12.9%と、長時間労働の事案が一定数でています。

業種別の特徴としては、「医療,福祉」、「運輸業,郵便業」では、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が他の要因と比べて多くなっています。

主な具体的出来事(精神障害事案)

過過労死対策のために 2. 労働時間の変化を知る

労働・社会分野の調査結果(アンケート調査結果)

全業種の企業(有効回答件数:3,715件)及び労働者(有効回答件数:9,798件)に対して、アンケート調査を実施したところ、4~5年前と比較して労働時間が短くなった、休日・休暇が取得しやすくなったと回答した労働者の割合は約3割に留まっています。

4~5年前と比較した労働時間の変化(労働者アンケート調査)

労働者が過重労働防止に向けて企業や事業所において必要と感じる取組は、「人員を増やす」(44.8%) 、「タイムカード、ICカード等の客観的な方法等により労働時間の管理を行う」(44.3%)が多くなっています。

企業における過重労働防止に向けた取組を実施する上で困難に感じることは、「人員不足のため対策を取ることが難しい」(40.1%)、「労働者間の業務の平準化が難しい」(34.8%)が多いという結果になりました。

過重労働防止に向けて企業や事業所において必要と感じる取組

過労死対策のために 3. 勤務状況と心身両面の健康との関連を知る

疫学研究等の分析

労働時間を中心とした勤務状況と心身両面の健康との関連を明らかにする研究で、本研究に参加同意の得られた企業で働く労働者から同意を得た上で、勤怠記録、ストレスチェック結果、健康診断結果等を収集し分析しました。
A社(第三次産業)の平成29年度データを分析した結果、労働時間が長いほど、健康診断の数値(血圧、LDL(悪玉)コレステロール等)、心理的ストレス反応等が悪化する傾向がみられました。

、健康診断の数値

以下は、長時間労働が血圧等に及ぼす影響と、それらの影響の加齢に伴う変化について、長時間労働を模擬した実験の手法により検証したです。
作業前の安静時血圧が正常範囲内である30代~50代の健常男性を対象とし、実験参加者は、模擬長時間労働として簡単なパソコン作業を行い、血圧等を測定しました。
模擬長時間労働時の血圧等の状態について年代別で比較したところ、30代と比較して、50代の作業中の収縮期血圧(最大血圧)が有意に高く、特に作業時間の後半においてその傾向が顕著にでています。

収縮期血圧(最大血圧)

【過労死対策】労働時間管理の徹底を:まとめ

「過労死等防止対策白書」の分析データにより、長時間労働が過労死に関わっていることがわかりました。長時間労働による労働者のストレスを軽減しメンタルヘルスの不調を防ぐために、労働時間を正しく管理し過労死対策を重点的に行う必要があります。

アンケート調査結果では、労働者が過重労働防止に向けて企業や事業所において必要と感じる取組として、「タイムカード、ICカード等の客観的な方法等により労働時間の管理を行う」が人員を増やすと同等に多くなっていました。
人員を増やすのは難しくても、客観的な方法等により労働時間の管理を行うことは勤怠管理システムを導入することで、残業の上限時間を超過している従業員への対応や残業時間抑制の取り組みが可能です。

企業は時間管理と同時にメンタルヘルスにも気を配り、過労死対策を進めていきましょう。

厚生労働省:令和2年版過労死等防止対策白書(https://www.mhlw.go.jp/content/000689329.pdf)を加工して作成

ページ内グラフ出典先 厚生労働省:令和2年版過労死等防止対策白書(https://www.mhlw.go.jp/content/000689329.pdf)