【飲酒運転】企業におけるリスクと対策

飲酒運転

飲酒運転による事故は、2002年以降、厳罰化や飲酒運転根絶に対する社会的気運の高まり等により大幅に減少してきました。しかし、2020年の飲酒運転による交通事故の状況を見ると、重傷事故が353件、死亡事故が159件と、飲酒運転による悲惨な交通事故は後を絶ちません。

もしも従業員が飲酒運転事故を起こした場合、会社が責任を問われるケースもあります。この記事では、飲酒運転のリスクと対策を紹介します。

飲酒運転による交通事故の状況

死亡事故比率

2021年中の飲酒運転による交通事故件数は2,198件で、前年と比べて減少し、そのうち死亡事故件数は152件で、こちらも前年と比べて減少しました。
しかし、飲酒有無別の死亡事故率を見ると、飲酒運転の死亡事故率は、飲酒なしの約9.2倍と極めて高く、飲酒運転による交通事故は死亡事故につながる危険性が高いことが分かります。

飲酒運転はなぜ起こる?

アルコールの脳への影響

アルコールは少量でも脳の働きを麻痺させます。 一般に「酔う」とは、血中のアルコール濃度が高くなることにより、大脳皮質(理性や判断をつかさどる部分)の活動をコントロールしている大脳下部の「網様体」が麻痺した状態を言います。

脳の働きが麻痺するということは、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下している状態になります。具体的には「気が大きくなり速度超過などの危険な運転をする」 「車間距離の判断を誤る」「危険の察知が遅れたり、危険を察知してからブレーキペダルを踏むまでの時間が長くなる」など、飲酒運転は交通事故に結びつく危険性を高めます。

また、酒に弱い、強い関係なく、低濃度のアルコールで運転操作等に影響を及ぼすことが各種調査研究により明らかになっていますので、少しでも飲酒したら絶対に車両等を運転できません。

アルコール依存症

いくら法規制を厳しくしても飲酒運転がなくならない原因のひとつに、アルコール依存症が考えられます。飲酒運転検挙経験者の半数以上が多量飲酒者であり、アルコール依存症者の割合も一般人口に比べて非常に高いことがわかっています。※1

一般成人人口における飲酒パターンおよびアルコール関連問題の実態については,2013年に全国調査が実施され、生活習慣病のリスクのある飲酒者が1,036万人、スクリーニングテストでアルコール依存症が疑われるものが112万人にも上りました。

その一方で問題飲酒者として治療を受けている患者数は厚生労働省の患者調査によると、年間4万3千人から6万人程度であり、ほとんどの人が専門的な治療を受けていません。※2

アルコール依存症の場合、正常時は飲酒運転の危険性やリスクを十分認識できても、少しの飲酒で、飲む量、飲むタイミングを自分でコントロールできなくなります。その意味ではアルコールは依存性の薬物の一種だとも言われるほどです。

※1 出典:厚生労働省:e-ヘルスネット
飲酒と事故(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-06-004.html)
わが国の飲酒パターンとアルコール関連問題の推移(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-06-001.html)

飲酒運転による死亡事故の特徴

飲酒運転による死亡事故には、以下のような特徴があります。

  • 発生時間は、22時から6時までで約6割を占める。
  • 年齢層別の免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、30歳未満の年代で多い。
  • 飲酒死亡事故件数は、30歳未満では22時から6時まで、65歳以上では14時から22時までに多く発生している。
  • 運転者の飲酒状況は、酒酔い又は酒気帯び(呼気0.25mg/l以上)が約7割を占める。
  • アルコールの影響が大きい状況では、影響が小さい状況に比べて、車両単独による死亡事故が多く発生している。
  • 単独事故の割合が高い。また、運転者や同乗者が死亡する事故が多いが、約3割は第三者を死亡させている。

飲酒運転した理由は、「出勤のため二日酔いで運転してしまった」、「時間経過により大丈夫だと思った」など。
現在では多くの人が理解しているはずの、飲酒量とアルコールの分解時間ですが、飲み始めは意識していても、ある程度アルコールが入ってしまうと、脳の働きが麻痺することで正しい判断ができなくなってしまいます。

会社が従業員のマイカーを会社の業務に使用させている場合は、二日酔いで営業に向かう可能性があることになります。飲酒時間は勤務時間外だからといって、会社も無関係とは言えません。

【飲酒運転】企業におけるリスクと対策:まとめ

アルコール依存症は、習慣的に飲酒をする人であれば誰でもなる可能性があり、すべての企業に関わる問題です。従業員がアルコール依存症になった場合の企業のリスクは、飲酒運転だけでなく、業務の効率低下や事故や労働災害の危険性をはらんでいます。
どこまで従業員のプライベートに立ち入るかは難しい問題ですが、中には仕事によるストレスから飲酒の機会が増えたというケースもあるかもしれません。労務管理の観点からも、従業員にアルコール依存症の兆候を見つけたら産業医面談などを通じて専門医療機関受診につなげることが望ましいと思われます。

また、【白ナンバーのアルコールチェック義務化】企業が利用する社用車も対象に!の記事で紹介したように、2022年4月1日から改正道路交通法施行規則が順次施行となり、「白ナンバー」を一定の台数以上使う事業者もアルコールチェックが義務となりました。
対象となる事業者は、事業所ごとに1名の安全運転管理者をおき、従業員の自動車運転についての適性、知識、技能や道路交通法等の規定を守っているか把握するための措置をとることなどの業務が義務となります。

法令を守り、運転前の検知器を使ったアルコールチェックを行う事はもちろんですが、従業員の日頃の健康状態にも注意をはかり安全運転を徹底することで、企業だけでなく従業員やその家族を守っていくことが求められています。

警察庁:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html)を加工して作成