【改正道路交通法】アルコールチェックが白ナンバーも義務化に

2022年4月1日から道路交通法が改正となり、白ナンバーのアルコールチェックが義務化されました。

これまでの道路交通法では、検知器を使ったアルコールチェックが必要なのは運送業などの「緑ナンバー」のみでしたが、あらたに「白ナンバー」を一定の台数以上使う事業者も対象になり、自社の拠点間や取引先への配送に白ナンバー車を使っている企業についても、検知器を使ったアルコールチェックが義務となる予定です。

9月12日現在では、半導体不足の影響などでアルコール検知器の供給が追いつかず、検知器の使用義務については延期される見通しとなっていますが、いづれは施行されますので今から準備が必要です。そこで
この記事では、なぜアルコール検知器でのアルコールチェックが必要になったのか、その背景や紹介します。

【改正道路交通法】アルコールチェック義務化の背景

道路交通法による白ナンバーのアルコールチェック義務化の背景には、これまで悲惨な飲酒運転事故が起こる度に法改正が繰り返されてきた経緯があります。

  • 1999年
    1999年、東名高速道路で飲酒運転のトラックが乗用車に追突。幼い姉妹が亡くなりましたが、運転手は業務上過失致死傷罪などで懲役4年という軽い刑に。この事故が、後に量刑の重い危険運転致死傷罪を新設する契機になりました。
  • 2006年
    福岡市で飲酒運転の乗用車に追突された車が海に転落し、子供3人が亡くなるという痛ましい事故が起き、更なる厳罰化が行われています。飲酒していると知りながら運転をさせたり、車を運転すると知っているのに酒を提供した場合も罰則の対象となりました。
  • 2011年
    事業用自動車の運転者の飲酒運転を根絶するため、運送事業者が運転者に対して実施する点呼において、運転者の酒気帯びの有無を確認する際にアルコール検知器を使用することが義務づけられました。
  • 2019年
    2018年頃から鉄道や航空業界でも「飲酒」問題が顕在化し、アルコール検知器が義務付けられました。

それでも飲酒運転の根絶は実現せず、今回の改正道路交通法、白ナンバーのアルコールチェック義務化の契機となったのが、2021年6月に飲酒運転の白ナンバーのトラックが児童5人を死傷させた事故でした。

事故が起きる度に法改正が行われてきたにもかかわらず、飲酒運転が無くならないため、規制や厳罰化が進んでいます。

前回(2011年)の改正道路交通法:緑ナンバー(運送事業者等)のアルコールチェックが義務化

今回の改正道路交通法、白ナンバーのアルコールチェック義務化の前に、まず2011年の法改正について確認してみましょう。
この時は、運送事業者が運転者に対して実施する点呼において、運転者の酒気帯びの有無を確認する際にアルコール検知器を使用することが義務づけられています。

対象となる事業者

  • 一般旅客自動車運送事業者
  • 特定旅客自動車運送事業者
  • 一般貨物自動車運送事業者
  • 特定貨物自動車運送事業者
  • 貨物軽自動車運送事業者

アルコール検知器の備え付け

事業所ごとにアルコール検知器を備える。
遠隔地で乗務を終了または開始する場合には、運転者に携帯型のアルコール検知器を携行させる。

アルコール検知器の保守

運行管理者はアルコール検知器を故障がない状態で保持しておくために、アルコール検知器の製作者が定めた取扱説明書に基づき、適切に使用し、管理し、及び保守するとともに、次の事項を実施する。

毎日確認

電源が確実に入ること。損傷がないこと。
※遠隔地で乗務を終了または開始する場合等、アルコール検知器を運転者に携行させ、又は自動車に設置されているアルコール検知器を使用させる場合にあたっては、運転者が所属営業所を出発する前に実施すること。

少なくとも週1回以上確認

酒気を帯びていない者がアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知しないこと。
アルコールを含有する液体又はこれを希釈したものを、口内に噴霧した上でアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知すること。

遠隔地におけるアルコール検査の実効性向上策の実施について

バス・タクシー・トラック事業の運転者が、所属営業所以外の営業所においてアルコール検査を行う場合には、同営業所の運行管理者等の立ち会いが求められる。これに合わせて、所属営業所以外の営業所において乗務を開始・終了する場合には、一定の条件の下で、同営業所に設置された高性能なアルコール検知器を使用する方法が認められる。

※出典:国土交通省 自動車総合安全情報(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03alcohol/)

白ナンバーのアルコールチェックが義務化される以前に、運送事業者が利用する緑ナンバーについては、すでにこれらの義務が課せられていました。今回、対象が拡大された法改正の内容は以下になります。

今回(2022年)の改正道路交通法:白ナンバーのアルコールチェックが義務化

白ナンバーのアルコールチェック義務化の対象となる事業者

乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上、または白ナンバー車5台以上を保持する企業が白ナンバーのアルコールチェック義務化の対象です。以下は、それぞれ1事業所(本拠)あたりの台数となります。

乗車店員が11人以上の自動車1台以上

その他の自動車5台以上

※自動二輪車(原動機付き自転車を除く)は1台0.5台に換算

安全運転管理者の専任

安全運転管理者

上記の白ナンバーのアルコールチェック義務化の対象となる事業者は、事業所(自動車使用の本拠)ごとに1名を選任します。
安全運転管理者の資格要件は、年齢20歳(副安全運転管理者を選任しなければならない場合は30歳)以上。規定の交通違反をした日から2年を経過していない場合など、安全運転管理者になれない場合があります。

副安全運転管理者

副安全運転管理者の人数は、自動車の台数によって異なります。
選任を必要とする自動車の台数は20台以上とし、20台毎に1人の追加選任が必要となります。

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自動車の台数副安全運転管理者
19台まで不要
20台から39台まで1人
40台から59台まで2人
20台ごとに1人の追加選任

改正道路交通法 罰則

安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなかった場合は「5万円以下の罰金」
(法人等両罰5万円以下の罰金)

安全運転管理者の業務

安全運転管理者は、その管理下の運転手に対して、国家公安委員会が作成・公表する「交通安全教育指針」に従った安全運転教育や、安全運転管理業務を行わなければなりません。

  1. 運転者の適正等の把握
    自動車の運転についての運転者の適性、知識、技能や運転者が道路交通法等の規定を守っているか把握するための措置をとること。
  2. 運行計画の作成
    運転者の過労運転の防止、その他安全な運転を確保するために自動車の運行計画を作成すること。
  3. 交代運転者の配置
    長距離運転又は夜間運転となる場合、疲労等により安全な運転ができないおそれがあるときは交替するための運転者を配置すること。
  4. 異常気象時等の措置
    異常な気象・天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、安全確保に必要な指示や措置を講ずること。
  5. 点呼と日常点検
    運転しようとする従業員(運転者)に対して点呼等を行い、日常点検整備の実施及び飲酒、疲労、病気等により正常な運転ができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。
  6. 運転日誌の備付け
    運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。
  7. 安全運転指導
    運転者に対し、「交通安全教育指針」に基づく教育のほか、自動車の運転に関する技能・知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと。

安全運転管理者の届け出

  • 安全運転管理者を選任したときは、その日から15日以内の事業所を管轄する警察署に必要書類を提出する(不明点は各都道府県警察のホームページや警察署で確認)

今回の改正道路交通法による白ナンバーのアルコールチェック義務化については、準備が間に合わないという意見もあったため、段階的に導入することとなりました。安全運転管理者は、以下の業務が義務となります。

2022年4月1日〜目視等によるアルコールチェックと記録

  • 運転前後の運転者の状態を目視等により、運転者の酒気帯びの有無を確認すること
  • 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること

検知器を用いたアルコールチェック

現在、延期となっていますが、次に義務化される検知器を用いた白ナンバーのアルコールチェックについては、次の2つのように4月時点よりも厳格な対応が求められます。

  • 運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うこと
  • アルコール検知器を常時有効に保持すること

※アルコール検知器とは呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器を指します。

アルコール検知器によるチェックは運転の前後となっていますが、出退勤の打刻時にアルコールチェックを行う、また遠隔地の場合は、アルコール検知器を携帯して確認することも可能です。

必ずしも個々の運転の直前又は直後にその都度行わなければならないものではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、及び終了後や退勤時に行うことで足りる。

運転者の酒気帯び確認の方法は対面が原則であるが、直行直帰の場合など対面での確認が困難な場合にはこれに準ずる適宜の方法で実施すればよく、例えば、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、

  1. カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
  2. 携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法等の対面による確認と同視できるような方法が含まれる。

引用:令和3年11月10日警察庁の施策を示す通達 (https://www.npa.go.jp/laws/notification/tuutatuanzenuntenkanri.pdf)

【改正道路交通法】アルコールチェックは白ナンバーも義務化へ:まとめ

今回の改正道路交通法で白ナンバーのアルコールチェックが義務化され、自社の拠点間や取引先への配送に白ナンバー車を使っている企業についても、いづれは検知器を使ったアルコールチェックが必要となり、多くの企業が対応を求めらます。
アルコール検知器は、事務所に設置、直行直帰や出張など遠隔地でもチェックできるよう車に設置、または一人一台ずつ携帯するなどが考えられます。さらに安全運転管理者の業務は、点呼やアルコールチェック、記録したデータの管理と保管などが義務づけられています。

働き方改革による労基法の改正や、改正道路交通法による白ナンバーのアルコールチェック義務化など、これからも様々な法改正が行われていくにつれ、企業にとって管理作業が増え複雑になっていきますが、クラウドサービスなどを利用することで効率化をはかっていきましょう。

警察庁:事業所の飲酒運転根絶 取り組み強化!(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/ankanleaflet.pdf)
警察庁:安全運転管理者等法定講習(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/torikumi/drm_top.html)
国土交通省:自動車総合安全情報(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03alcohol/)
を加工して作成