【DXリテラシー標準】人材確保・育成の指針として

DXリテラシー標準

企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するには、働き手一人ひとりがDXリテラシーを身につけ、変革に向けて行動する必要があります。経済産業省は、そのための人材確保・育成の指針として、「DXリテラシー標準」を策定しました。
この記事では、DXリテラシー標準の全体像や学習項目例・活用方法などについて紹介します。

DXリテラシー標準とは?

DXというワードは、2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を取りまとめた頃から、広がりはじめました。

DXとは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」です。

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デジタル化・IT化を経て、これからはDX化を実現していく時代になっています。それには、企業経営者含め、従業員一人ひとりがDXに理解・関心を持ち自分事としてとらえている状態にすることが不可欠です。

さらに、実際に企業がDX戦略を推進するには、関連する専門性をもった人材が活躍することが重要です。このDX推進における人材の重要性を踏まえ、個人の学習や企業の人材確保・育成の指針として、「DXリテラシー標準」が策定されました。

DXリテラシー標準には、DXの必要性や効果、必要なスキルと学習項目、活用例などが具体的に示されています。

DXリテラシー標準の全体像

DXリテラシー標準は「マインド・スタンス」を根幹に、「Why」「What」「How」の3つの学びの枠組みで構築されています。

マインド・スタンス

デザイン思考/アジャイルな働き方
顧客・ユーザーへの共感 / 常識にとらわれない発想 / 反復的なアプローチ

新たな価値を生み出す基礎としてのマインド・スタンス
変化への適応 / コラボレーション / 柔軟な意思決定 / 事実に基づく判断

社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要な意識・姿勢・行動を定義
個人が自身の行動を振り返るための指針かつ、組織・企業がDX推進や持続的成長を実現するために、構成員に求める意識・姿勢・行動を検討する指針とする

学習のゴールは、社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要なマインド・スタンスを知り、自身の行動を振り返ることができること。

  • 変化への適応
    環境や仕事・働き方の変化を受け入れ、適応するために自ら主体的に学んでいる自身や組織が持つ既存の価値観の尊重すべき点を認識しつつ、環境変化に応じた新たな価値観、行動様式、知識、スキルを身につけている

  • コラボレーション
    価値創造のためには、様々な専門性を持った人と社内・社外問わずに協働することが重要であることを理解し、多様性を尊重している

  • 顧客・ユーザーへの共感
    顧客・ユーザーに寄り添い、顧客・ユーザー自身の立場に立ってニーズや課題を発見しようとしている

  • 常識にとらわれない発想
    顧客・ユーザーのニーズや課題に対応するためのアイデアを、既存の概念・価値観にとらわれずに考えている
    従来の物事の進め方の理由を自ら問い、より良い進め方がないか考えている

  • 反復的なアプローチ
    新しい取り組みや改善を、失敗を許容できる範囲の小さいサイクルで行い、顧客・ユーザーのフィードバックを得て反復的に改善している
    失敗したとしてもその都度軌道修正し、学びを得ることができれば「成果」であると認識している

  • 事実に基づく判断
    勘や経験のみではなく、客観的な事実やデータに基づいて、物事を見たり、判断したりしている

DX

【Why】DXの背景

社会の変化 / 顧客価値の変化 / 競争環境の変化

DXの重要性を理解するために必要な、社会、顧客・ユーザー、競争環境の変化に関する知識を定義
DXリテラシーとして身に付けるべき知識の学習の指針とする

学習のゴールは、人々が重視する価値や社会・経済の環境がどのように変化しているか知っており、DXの重要性を理解していること。

  • 社会の変化
    世界や日本社会におきている変化を理解し、変化の中で人々の暮らしをよりよくし、社会課題を解決するためにデータやデジタル技術の活用が有用であることを知っている

  • 顧客価値の変化
    顧客価値の概念を正しく理解し、顧客・ユーザーがデジタル技術の発展によりどのように変わってきたか(情報や製品・サービスへのアクセスの多様化、人それぞれのニーズを満たすことへの欲求の高まり)を知っている

  • 競争環境の変化
    データ・デジタル技術の進展や、社会・顧客の変化によって、既存ビジネスにおける競争力の源泉が変わったり、従来の業種や国境の垣根を超えたビジネスが広がったりしていることを知っている

【What】DXで活用されるデータ・技術

データ
社会におけるデータ / データを読む・説明する / データを扱う / データによって判断する

デジタル技術
AI / クラウド / ハードウェア / ソフトウェア / ネットワーク

ビジネスの場で活用されているデータやデジタル技術に関する知識を定義
DXリテラシーとして身に付けるべき知識の学習の指針とする

学習のゴールは、DX推進の手段としてのデータやデジタル技術について知っていること。

  • 社会におけるデータ
    「データ」には数字だけでなく、文字・画像・音声等様々な種類があることや、それらがどのように蓄積され、社会で活用されているか理解している

  • データを読む・説明する
    データの分析手法や結果の読み取り方を理解している
    データの分析結果の意味合いを見抜き、分析の目的や受け取り手に応じて、適切に説明する方法を理解している

  • データを扱う
    データ活用には、データ抽出・加工に関する様々な手法やデータベース等の技術が欠かせないことを理解している

  • データによって判断する
    業務・事業の構造、分析の目的を理解し、データを分析・活用するためのアプローチを知っている
    期待していた結果とは異なる分析結果が出たとしても、それ自体が重要な知見となることを理解している
    分析の結果から、経営や業務に対する改善のアクションを見出し、アクションの結果どうなったかモニタリングする手法を理解している

【How】データ・技術の活用

活用方法・事例
データ・デジタル技術の活用事例 / ツール活用

留意点
セキュリティ / モラル / コンプライアンス

ビジネスの場でデータやデジタル技術を活用する方法や留意点に関する知識を定義
DXリテラシーとして身に付けるべき知識の学習の指針とする

学習のゴールは、データ・デジタル技術の活用事例を理解し、その実現のための基本的なツールの活用方法を身につけたうえで、留意点などを踏まえて実際に業務で活用できること。

  • データ・デジタル技術の活用事例
    ビジネスにおけるデータ・デジタル技術の活用事例を知っている
    データ・デジタル技術が様々な業務で活用できることを理解し、自身の業務への適用場面を想像できる

  • ツール活用
    ツールの活用方法に関する知識を持ち、日々の業務において、状況に合わせて適切なツールを選択できる

  • セキュリティ
    セキュリティ技術の仕組みと個人がとるべき対策に関する知識を持ち、安心してデータやデジタル技術を活用できる

  • モラル
    個人がインターネット上で自由に情報のやり取りができる時代において求められるモラルを持ち、インターネット上で適切にコミュニケーションできる
    捏造、改ざん、盗用などのデータ分析における禁止事項を知り、適切にデータを活用できる

  • コンプライアンス
    プライバシー、知的財産権、著作権の示すものや、その保護のための法律、諸外国におけるデータ規制等について知っている
    実際の業務でデータや技術を活用するときに、自身の業務が法規制に照らして問題ないか確認できる

DXリテラシー標準に沿った学びによる効果

企業

DXに関するリテラシーを身につけ、DXへのアンテナを広げた人材が増えることで、DXを加速することができます。

出典:デジタルスキル標準ver.1.0

経営層が、社会やビジネス環境の変化において有益な技術・考え方を知ることで、自社としてのDXの方向性を思案し、社員に示すことができるようになります。

また、事業内容そのものや業務について知見のある人材がリテラシーを身につけDXへのアンテナを広げることで、企業・組織におけるDXの可能性の発掘や、DXに関する専門性が高い人材(DXを推進する人材)との協働が進み企業としてのDXが進みやすくなります。

様々な組織・年代・階層・職種の人材がDXに関するリテラシーを身につけることで、企業・組織のDX推進に伴って組織内で起きる変化への受容性が高まる効果が期待できます。

個人

DXリテラシー標準に沿った学びは個人にとっても有益です。世の中で起きているDXや最新の技術へのアンテナを広げることができ、DXリテラシー標準の内容を身につけることにとどまらず、日々生まれている新たな関連項目・キーワードにも興味を向けるようになり、知識を広げていくことができます。

【DXリテラシー標準】人材確保・育成の指針として:まとめ

社会環境・ビジネス環境の変化に対応するために、企業・組織を中心に社会全体のDXが加速する中で、人生100年時代を生き抜くためには、経営者・労働者を問わず、一人ひとりが自分自身のこととして学び続けることが不可欠といえます。

企業としてのDXビジョンや戦略を固めたうえで、DXリテラシー標準を指針に取組みを推進していきましょう。

経済産業省:DXリテラシー標準ver.1.0(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/DX_Literacy_standard_ver1.pdf)を加工して作成