【人材戦略】経営課題を解決に導く3つのステップ

中小企業の経営環境は、近年めまぐるしく変化し、多くの企業が課題を抱えています。
売上げが伸びない、利益が十分に確保できない、新分野への進出は不安が大きいなど課題は様々ですが、人材活用に適切に取り組めていないことが背景に潜む可能性があります。その場合は経営課題と連動した人材戦略が必要です。
この記事では、中小企業が人材戦略に取り組むための、3ステップを紹介します。
Contents
人材戦略の基本的な考え方
人材戦略とは、経営目標の達成を目的として策定する計画や施策を指します。企業の経営戦略と人材戦略の整合性がとれると、社員のモチベーションがあがり、生産性や業績、さらには企業価値の向上へと繋がります。
経営方針や事業の在り方
人材戦略の取組の意義は、「誰のために何がしたいのか」という事業の在り方の原点に立ち返ることです。事業の再構築なども含めて、経営方針を根幹から見つめ直し、経営戦略を立て直すことも選択肢の一つになり得ます。
ミッション/ビジョン/バリュー
経営方針を見直し、事業再構築を進める上で、ミッション/ビジョン/バリューを検討・策定することが重要です。
社内で取組を継続させるうえで、経営者自身が骨子を提案し、従業員に意見を求めながら一緒に作り上げることが大切です。これによって、従業員の中に「自分ごと」として浸透し、ミッション/ビジョン/バリューが、会社全体でその実現に取組みやすくなります。

人材戦略ステップ 1. 経営課題と人材課題を確認
具体的な課題、その課題の背景を確認して、想定される人材課題を整理します。
背景には2通りの人材課題があり、それぞれABとしました。
経営課題と背景
課題.1 営業が不十分/販路を拡大できない
課題の背景
A : マーケティング戦略を構想し、内部に浸透させ、実行することができる中核的な人材の不足
B : 営業担当人材の知識・経験の不足や、販路拡大に挑む意欲の欠如
課題.2 商品・サービスの開発・改善ができない
課題の背景
A : 商品・サービスの開発を企画し、プロジェクトを先導するリーダーとなる中核的な人材の不足
B : 商品・サービスの開発プロジェクトに貢献できる担当人材の不足
課題.3 生産管理が十分にできていない
課題の背景
A : 生産・製造設備の増強や高度化を企画し、資金確保を先導するリーダーとなる人材の不足
B : 生産・製造を担当する人材の生産・製造設備に関する知識・経験の不足や、生産・製造効率の向上に挑む意欲の欠如
課題.4 財務体質を改善できない/価格転嫁ができない
課題の背景
A : 業務の効率化や高度化を企画し、資金確保を先導するリーダーとなる中核的な人材の不足
B : 財務担当の人材の財務に関する知識・経験の不足や、財務体質の改善に挑む意欲の欠如
課題.5 デジタル化等による業務効率化・コスト削減ができない
課題の背景
A : システム導入や業務プロセス等の改善を企画し、実施を主導する中核的な人材がいない
B : 従業員のデジタル化ツールの活用方法に関する知識や経験の不足、業務改善に挑む意欲の欠如が課題の解決を遅らせている
課題.6 人材確保ができない(採用に至らない・定着しない・賃上げができないなど)
課題の背景
A :人事管理のうち、採用や処遇改善のための施策を企画・実行する人材を確保・育成できない
B : 採用担当の人材を育成・採用できない
課題.7 人材の育成が十分にできていない
課題の背景
A : 人事管理のうち、育成・評価方針を企画する人材を確保・育成できないことや、育成のための職場環境が整備されていない
B : 人事・教育担当の人材を育成・採用できないことや、育成のための職場環境が整備されていない
人材戦略ステップ 2. 人材戦略を検討
中核人材と業務人材
人材のタイプには、中核人材と業務人材があります。
中核人材
事業上の様々な業務において中核を担う人材・高度な専門性を有する人材
業務人材
事業運営において、主に定められた業務範囲の遂行を担う人材。中核人材が描いた戦略を実行に移したり、日々の事業運営を支えたりする上で不可欠な役割を担う。
ステップ1の人材課題に関する検討結果を踏まえ、求める人材のタイプが「中核人材」なのか、「業務人材」なのか明確にすることで、取り組むべき人材戦略の方向性が見えてきます。求める人材のタイプを確認するためには、担ってほしい業務内容や責任範囲などを明確にし、必要なスキル・能力を整理する必要があります。
人材戦略の方向性
人材戦略の方向性は、確保したい人材のタイプに応じて、大きく3つに分けられます。

ステップ1の課題の背景において、Aの場合は「中核人材」、Bの場合は「業務人材」に対する対策が必要です。それぞれに適した人材確保の手法による人材戦略の具体的な対策を進めましょう。
人材戦略の具体的な対策
(1)中核人材採用型
中核人材を採用するためには、求人像の明確化や、求める人材が「ここで働きたい」と思うような職場環境づくりが必要です。
●確保手法
中途採用・新卒採用
副業・兼業/シニア人材等の活用
●環境整備
人事評価制度の策定・見直し・キャリアパスの見える化
労働条件・処遇の見直し/テレワーク
業務の「マニュアル化」「デジタル化」による業務効率化・アウトソーシング
(2)中核人材育成型
中核人材を育成するためには、育成に必要な時間を創出するための業務改善・効率化や、従業員が能力・スキルを高めたいと思うような風土、評価制度づくり等が必要です。
●確保手法
OJTによる人材育成
Off-JTによる人材育成(リスキリング)
副業・兼業人材等による人材育成
●環境整備
人事評価制度の策定・見直し・キャリアパスの見える化
労働条件・処遇の見直し/テレワーク
業務の「マニュアル化」「デジタル化」による業務効率化・アウトソーシング
(3)業務人材採用・育成型
業務人材を採用・育成するためには、多様な働き方を実現するための働き方改革、社内人材による計画的なOJT・OFF-JTの導入等の職場環境づくりが必要です。
●確保手法
中途採用
OJTによる人材育成
副業・兼業人材等による人材育成
●環境整備
人事評価制度の策定・見直し・キャリアパスの見える化
労働条件・処遇の見直し/テレワーク
業務の「マニュアル化」「デジタル化」による業務効率化・アウトソーシング
人材戦略ステップ 3. 人材戦略を実行
人材戦略に沿って具体的な取組を検討し、実行します。
具体的な取組
中途採用
企業を取り巻く環境が大きく変化する中、中途採用で優秀な人材を確保することは、企業の成長の肝となります。ミッション/ビジョン/バリューに共感してくれる人材を採用する共感採用等、経営方針に沿った戦略的な採用活動に取り組みましょう。
新卒採用
将来の幹部候補の確保や、組織の活性化、企業文化の継承が期待できます。学生がイメージしやすくなるよう、求人像、労働条件・処遇、キャリアパスなど、職場の魅力をしっかり発信することが重要です。
副業・兼業/シニア人材等の活用
業務の企画・管理の能力、専門技術等の高度な知見や能力を有する人材は、多くの企業が確保を望みます。採用によって実現したいこと、解決したい課題を意識し、最適な手段を検討しましょう。
OJTによる人材育成
OJTは「On the Job Training」の略称です。実務を通じ、座学研修やマニュアルだけでは身につかない実践的なスキルや知識の習得を目指す育成手法です。指導する側の指導力向上や、組織活性化も期待できます。
Off-JTによる人材育成(リスキリング)
Off-JTとは「Off The Job Training」の略称です。通常の業務から離れて新たな知識やスキルを習得する研修形態を指し、これは近年注目されるリスキリングの有効な手法の一つです。継続して取り組めば、従業員エンゲージメント向上や、部門間のコミュニケーション強化が期待できます。
副業・兼業人材による人材育成
業務経験が豊富な副業・兼業人材の活用は他の従業員の育成にも有効です。業務に追われて時間がない、人材育成担当者が企業内にいない場合の効果的・効率的な人材育成手法として検討しましょう。
人事評価制度の策定・見直し・キャリアパスの見える化
人事評価制度の策定やキャリアパスの見える化は、計画的な人材育成による従業員の成長やモチベーション向上につながります。ミッション/ビジョン/バリューとの連動を念頭に置きながら、策定・見直しを行いましょう。
労働条件・処遇の見直し テレワーク
人材から選ばれる企業となるために、超過勤務削減や賃上げを見据えた事業の見直し、テレワークの導入等による、働く時間と場所の選択肢を増やすことを検討してみましょう。
「マニュアル化」「デジタル化」による業務効率化・アウトソーシング
業務フロー改善、業務マニュアル整備やデジタル化などの業務効率化に取り組みましょう。また、業務委託などのアウトソーシング(外部化)による分業や効率化も検討しましょう。
【人材戦略】経営課題を解決に導く3つのステップ:まとめ
従業員を募集しても応募がない、賃上げをしようにも限界がある、といった悩みを持つ企業は少なくありません。しかし、従来と同じままでは期待する人材を確保することが難しくなっていきます。働く側が求める仕事はどのようなものか、その人材を活かせる仕事はどのようなものか、考え直すことが必要です。
人材戦略には、経営者が貴重な人的リソースである従業員の情報を把握し、保有能力や経験を活用することが求められます。
勤怠管理システムと連動した人事労務システムの導入により、人事情報を一元管理し、部門長や経営層とも効率的に情報共有できるため、経営計画の推進や適切な評価が可能となります。
人材の問題に向き合い、行動を起こすことはエネルギーが必要なので、難しい場合は人材戦略の検討・実行におけるサポート機関を利用する方法もあります。課題を克服し経営目標を達成するために、1つずつステップを踏みながら人材戦略に取り組んでいきましょう。
中小企業庁:人材活用ガイドライン
(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/soukai/037/dl/s03-1.pdf)を加工して作成

