2025年【地域別】全国最低賃金一覧|制度の概要と中小企業への支援策を紹介

最低賃金

近年、最低賃金の引き上げ額が注目されています。背景には物価上昇による生活費の負担増があり、これに対応するために最低賃金の引き上げが進められています。
最低賃金制度に基づき、使用者は定められた最低賃金額以上の賃金を支払う必要がありますが、最低賃金の引き上げにより、大きな影響を受ける中小企業のために、さまざまな支援策が用意されています。
この記事では、最低賃金制度について、また中小企業への支援策について紹介します。

最低賃金制度とは

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を、労働者に支払わなければならないとする制度です。仮に最低賃金額より低い賃金を双方の合意の上で定めても法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

最低賃金の種類

最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。

地域別最低賃金

地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、最低賃金が定められています。

なお、地域別最低賃金は、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して定めるものとされており、労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮することとされています。

特定最低賃金

特定最低賃金は、特定の産業について設定されている最低賃金です。特定の産業とは、専門性が高く労働条件が厳しい産業や、地域経済に重要な役割を持つ産業を指します。
これは、関係労使の申出に基づき最低賃金審議会の調査審議を経て、同審議会が地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業です。

多くは都道府県ごとに異なる「特定の産業」に適用されています。主な対象は「鉄鋼業」「電気機械器具製造業」「輸送用機械器具製造業」などの製造業が中心ですが、都道府県ごとに「繊維工業」「化学工業」「食料品製造業」など細かく分かれています。

全国最低賃金一覧

最低賃金は都道府県別に時給で定められており、業種や職種にかかわらず同一都道府県内で均一です。2025年(令和7年)度の最低賃金は、全国全都道府県で1,000円を超え、大幅に引き上げられています。
全国加重平均は時給約1,121円前後となり、2024年(令和6年)度より約63円~82円引き上げられ、過去最大の引き上げ幅となりました。

令和7年度 地域別最低賃金 全国一覧

最低賃金一覧

※1 括弧内の数字は改定前の地域別最低賃金額
※2 発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有

出典:地域別最低賃金の全国一覧(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html)

最低賃金を支払わない場合の罰則

地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合、最低賃金法第40条により「50万円以下の罰金」が科されます。これは企業・個人事業主を問わず、すべての事業者が対象です。

また、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合は、労働基準法第120条により「30万円以下の罰金」が科されます。

最低賃金が適用される労働者の範囲

地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態を問いません。

特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に適用されます。
一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

  1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
  2. 試みの使用期間中の方
  3. 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
  4. 軽易な業務に従事する方
  5. 断続的労働に従事する方

派遣労働者への適用

派遣労働者には、派遣先の最低賃金が適用されますので、派遣労働者又は派遣元の使用者は、派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。

最低賃金の対象となる賃金

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

  2. 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)

  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)

  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

最低賃金額以上かどうかを確認する方法

支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

① 時間給制の場合

時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)

② 日給制の場合

日給÷1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給 ≧ 最低賃金額(日額)

③ 月給制の場合

月給÷1箇月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

④ 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

⑤ 上記① 、②、③、④ の組み合わせの場合

例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記②、③の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。

最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業

最低賃金の引上げにより、影響を受ける中小企業に対する支援があります。

専門家派遣・相談等支援事業

働き方改革推進支援センター等による相談・支援

全国47都道府県に設置されている「働き方改革推進支援センター」では、労務管理の専門家が、最低賃金引き上げに伴う賃金規定の見直しや生産性向上による賃金引上げなどに関する無料相談や個別訪問支援を行っています。中小企業庁の「よろず支援拠点」などとも連携しています。

中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)

「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金」は、厚生労働省が中小企業・小規模事業者の最低賃金引上げを支援するために設けている予算措置です。この予算に基づき、具体的な支援策として「業務改善助成金」が実施されています。この補助金(助成金)は、中小企業・小規模事業者が生産性を向上させ、その成果を労働者の賃金引上げに反映させることを後押しするものです。

具体的には、生産性向上に資する設備投資(例:効率化のための新しい機械やソフトウェアの導入、経営コンサルティングの活用、従業員向けの研修実施など)を行い、かつ、事業場で働く最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者に対して、その設備投資等に要した費用の一部が助成されます。

この補助金(助成金)の対象となるのは、一定の条件を満たす中小企業・小規模事業者です。助成の割合(助成率)や上限額は、実施した賃上げの額、事業場の規模、選択するコースなどによって細かく定められています。
特に、大きな賃上げを実施する事業者や、物価高騰等の影響を受けている事業者等に対しては、より手厚い支援内容となる場合があります。

必ずチェック!【2025年】全国最低賃金一覧|制度の概要と中小企業への支援策を紹介 : まとめ

2025年の最低賃金は、全国全都道府県で1,000円を超え、大幅に引き上げられています。物価上昇が続く中、最低賃金引き上げを中小企業にも波及させ、賃金の低い労働者の労働条件の改善を図ることで経済の活性化が期待されていますが、一方で、厳しい状況にある中小企業は多く人件費の負担が大きくなります。

最低賃金の引上げは、最低賃金制度によって定められたものであり、すべての企業が対応する必要があります。最低賃金の引上げにより影響を受ける中小企業は、政府の支援策を活用しましょう。

最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業

こういった支援策を利用することで、最低賃金引き上げにとどまらず、勤怠管理を効率化するなど、生産性向上や業務改善につなげていくことが求められています。

厚生労働省:最低賃金制度の概要
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43875.html)を加工して作成