【シフト勤務の勤怠管理ガイド】労働基準法遵守とトラブル防止

シフト勤務

シフト勤務では、労働契約の締結時点で労働日や労働時間を定めず、ある一定期間毎に勤務表を作成する際、具体的に確定することになります。

シフト勤務という言葉は労働基準法にある用語ではありませんが、シフト勤務労働者であっても、労働時間の上限は原則1日8時間・1週40時間であり、この上限を超えて働かせるには36協定が必要となります。
この記事では、労働基準法を守りシフト勤務のトラブルを防止するために、勤怠管理を適切に行うための留意点を紹介します。

シフト勤務の留意事項 1. シフト制労働契約の締結

労働条件の明示

労働契約の締結時には労働者に対して以下の労働条件を明示しなければなりません(労働基準法第15条第1項、労基則第5条)。

必ず明示しなければならない事項

  • 書面で交付しなければならない事項契約期間
  • 期間の定めがある契約を更新する場合の基準
  • 就業場所、従事する業務
  • 始業・終業時刻、休憩、休日など
  • 賃金の決定方法、支払い時期など
  • 退職(解雇の事由を含む)

定めをした場合に明示しなければならない事項

  • 退職手当
  • 賞与など
  • 食費、作業用品などの負担
  • 安全衛生
  • 職業訓練
  • 災害補償など
  • 表彰や制裁
  • 休職

特にシフト勤務の場合の労働契約では、始業・終業時刻、休日について、労働条件通知書などに明記が必要です。

■ 始業・終業時刻

労働契約の締結時点で、すでに始業と終業の時刻が確定している日については、労働条件通知書などに単に「シフトによる」と記載するだけでは不足であり、労働日ごとの始業・終業時刻を明記するか、原則的な始業・終業時刻を記載した上で、労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等を併せて労働者に交付する必要があります。

■ 休日

具体的な曜日等が確定していない場合でも、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明記する必要があります。

シフト制労働契約の規定

シフト勤務の留意事項 1に加えて、トラブルを防止する観点から、シフト制労働契約では、シフトの作成・変更・設定などについても労使で話し合って以下のようなルールを定めておくことが考えられます。

シフトの作成

  • シフトの作成時に、事前に労働者の意見を聞くこと
  • シフトの通知期限 例:毎月○日
  • シフトの通知方法 例:電子メール等で通知

シフトの変更

  • 一旦確定したシフトの労働日、労働時間をシフト期間開始前に変更する場合に、使用者や労働者が申出を行う場合の期限や手続
  • シフト期間開始後、確定していた労働日、労働時間をキャンセル、変更する場合の期限や手続
    ※一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、基本的に労働条件の変更に該当し、使用者と労働者双方の合意が必要である点に留意

シフトの設定

シフト勤務の場合、作成・変更のルールに加えて、労働者の希望に応じて以下の内容についてあらかじめ合意することも考えられます。

  • 一定の期間中に労働日が設定される最大の日数、時間数、時間帯など。
    例:毎週月、水、金曜日から勤務する日をシフトで指定する
  • 一定の期間中の目安となる労働日数、労働時間数
    例:1か月○日程度勤務/1週間あたり平均○時間勤務
  • これらに併せて、一定の期間において最低限労働する日数、時間数などを定めるなど。
    例:1か月○日以上勤務/少なくとも毎週月曜日はシフトに入る

就業規則の作成

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、「始業及び終業の時刻」や「休日」に関する事項などについて、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません(労働基準法第89条第1号等)。

シフト勤務

シフト勤務の留意事項 2. 労働時間・休憩・休暇など

(1)労働時間・休憩

シフト勤務の場合も、労働時間の上限は原則1日8時間、1週40時間であり、この上限を超えて働かせるには36協定が必要です(労働基準法第32条、第36条)。

1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、勤務時間の途中で与えなければなりません(労働基準法第34条第1項)。

(2)年次有給休暇

シフト勤務の場合も、所定労働日数・労働時間数に応じて、労働者には法定の日数の年次有給休暇が発生します(労働基準法第39条第3項、労基則第24条の3)。
使用者は、原則として労働者の請求する時季に年次有給休暇を取得させなければなりません(労働基準法第39条第5項)。
「シフトの調整をして働く日を決めたのだから、その日に年休は使わせない」といった取扱いは認められません。

(3)休業手当

シフト制労働者を、経営・管理上の障害など使用者の責に帰すべき事由で、労働者を休業させた場合は、平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが必要です(労働基準法第26条)。
※なお、使用者自身の故意、過失等により労働者を休業させることになった場合は、賃金の全額を支払う必要があります(民法第536条第2項)。

(4)安全・健康確保

労働安全衛生法に基づく安全衛生教育(安衛法第59条)や健康診断の実施(安衛法第66条)などの義務は、シフト勤務の場合も労働者に対して同様に適用されます。

シフト勤務の留意事項3. シフト制労働者の解雇や雇止め

(1)解雇

シフト制労働者と「期間の定めがある労働契約」(有期労働契約)を締結している場合、期間中はやむを得ない事由がなければ解雇できません。
また、期間の定めがない場合でも、客観的に合理的な理由等がなければ解雇できません(労契法第17条第1項、第16条)。
解雇する場合、①30日以上前の予告、②解雇予告手当の支払い(平均賃金の30日分以上)のどちらかが必要です(労働基準法第20条第1項)。

(2)雇止め

一定の場合には、雇止め(労働者からの有期労働契約の更新等の申込みを使用者が拒否すること)ができなくなります(労契法第19条)。
契約が3回以上更新されているか、労働者が雇入れ日から1年を超えて継続勤務している場合、雇止めには契約満了日の30日前の予告が必要です(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第1条)。

シフト勤務の留意事項4. 募集・採用、待遇、保険関係など

(1)募集

シフト勤務の労働者を募集する際には、業務内容・賃金・労働時間等の労働条件を明示することが必要です(職業安定法第5条の3第1項、第2項)。なお、募集時に示した労働条件を、労働契約締結までに変更する場合、変更内容の明示が必要です(職業安定法第5条の3第3項)。

(2)均衡待遇

シフト制労働者がパートタイム労働者や有期労働契約の労働者である場合には、通勤手当の支給やシフト減に伴う手当の支払いなどで、正社員と比べて不合理な待遇にしないよう留意します(パートタイム・有期雇用労働法第8条)。
※その際、正社員の待遇を労使合意なく引き下げることは望ましくないことに留意します。

(3)社会保険・労働保険

シフト制労働者も労災保険の適用、給付の対象です。また労働時間などの要件を満たせば、雇用保険や健康保険・厚生年金保険の被保険者にもなります。

【シフト勤務の勤怠管理ガイド】法令遵守とトラブル防止:まとめ

シフト勤務を導入する企業にとって、労働契約の締結から日々の勤務管理、解雇・雇止めに至るまで、法令を遵守し、労使間のトラブルを未然に防ぐことが重要です。特に、シフトの作成・変更に関するルールや労働時間の管理、休暇取得の適切な対応など、細かな配慮が求められます。

こうした管理を効率的に行うためには、シフト勤務管理機能を備えた勤怠管理システムの導入が効果的です。システムを活用することで、シフト勤務の管理が自動化され、正確な労働時間の記録が可能となります。これにより、労働関係法令を確実に守り、シフト勤務に伴うトラブルを防止することができます。

企業は、労働者に対して公平で透明性のある労働条件を示し、信頼関係を築きつつ、円滑な労務管理を実現しましょう。

厚生労働省:「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項を加工して作成(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000870906.pdf)