長時間労働是正の成功例

働き方改革は、中小企業にも浸透してきましたが、一部では依然として長時間労働が問題となっています。
人手不足などやむを得ない原因があるとしても、制度を取り入れたり新しい取り組みを行うことで働き方改革を実現した企業は多くあります。
この記事では、長時間労働是正の成功例を業界別に紹介します。

長時間労働の是正の好事例

労働環境改善で休日増・残業減

不動産業の場合

取組前
不動産業界は長時間労働が顕著で、当社でも月100時間超の残業をする社員もいました。社長は「快適環境を創造するのがモットーの会社で過酷な労働はおかしい。長時間労働は美徳じゃない」と考え、何より労働環境改善の優先に踏み切りました。
取組内容
『ワークアメニティ12』と名付けた時短と休暇を増やす制度を掲げ、5年前から店舗休業日を週1日から隔週2日に増やし、午後7時以降の残業を禁止。休日や夜間の電話対応も原則「出なくても良い」と指導しました。
取組結果
平均残業時間は月10時間以下、休日は10 年前から4 割増を達成

IT活用「残業ゼロ」を目指す

金属屋根部品製造の場合

取組前
専門家を招いた社内の講演会で長時間労働の弊害を指摘されたことがきっかけで、社長自らが「残業ゼロ」を宣言しました。
取組内容
基幹業務システムのコンピューターを刷新、受注や設備稼働の状況を踏まえた最適な生産計画。また、2012年に開発した見積もりシステムの役割も大きく、3日かかっていた作業を5分に短縮しました。さらにウェブ上に公開することで、顧客だけで見積もりができるようにしました。
取組結果
1 人当たりの月平均残業時間は3 年間で17.59 時間から0.9時間と減少。作業の効率化を図ることで社員1人当たりの生産性が上がりました。

働き方改革で、社内に好循環

菓子製造業の場合

取組前
近年の売上増に伴い商品の製造が追いつかず、和菓子製造に関わる一部の部署の残業時間が増え、有給消化もできない状況でした。
取組内容
他部署の社員が和菓子製造機械の使用方法を学ぶ研修会を開き部署間の協力体制を強化したり、会議で有給を申請する時間を設けたりして、残業の平準化や有給取得率の向上を目指しました。
取組結果
2018年6~10月は前年同期と比べ、残業時間の平均を10 時間以上減らすことができ、有給取得平均日数も1.9日から6.1日に増やすことができました。社員一人一人が効率的な仕事をしようという意識も強くなり、生産性が向上。残業時間の減少、生産性の向上で、売上に対する製造原価の比率を6%も下げることに成功こうして創出した時間やお金で、商品開発や設備投資を進められる好循環につながっています。

介護施設の場合

取組前
通勤時間が1時間以上の人もいるため、交替制勤務の現場からは「19時終業、翌朝6時始業のシフトはつらい」と不満の声がありました。
取組内容
介護職を対象に導入していた11時間の勤務間インターバル制度を、全職員に拡大し、休息時間数も12時間に延長。
夜間の緊急出勤などで勤務間インターバルが取れない場合は、始業時間を遅らせたり特別休暇を付与するなどの制度を併せて導入。
取組結果
終業から翌朝の出勤までの時間に余裕が生まれ、体調管理がしやすくなり、勤務間インターバル制度の導入と前後して、離職率が大幅に低下し、ほぼゼロになりました。
就職希望者が何人も待機している状態であり、他の施設へ転職した職員が復職するケースもでています。

従業員の健康増進を重視

小売業の場合

取組前
地域では人口減少は顕著となり、小売業を取り巻く経営環境の悪化が進展していました。パートタイム社員、アルバイト社員を「スマイル社員」と呼び人材募集強化を図ったが人材不足の状況は改善されませんでした。店舗では「文句を言わず長時間働く社員を高く評価する」傾向が強くありました。
取組内容
以下の取り組みを行いました。
残業時間の削減効果を最大20万円、個々の従業員の賞与に反映し、所得減を補填。
部下の長時間労働抑制を管理職の人事考査項目として設定。
毎日をノー残業デーにする。
短時間勤務制度、男性社員の育児休暇取得促進と出産時有給休暇制度、育児サポート制度(病児保育費やベビーシッター費の会社負担)を整備。
有給休暇を利用した夏季連続、冬季連続、メモリアル休暇の取得促進(管理職率先)。
取組結果

以下の様に改善しました。

1人当たりの月平均時間外労働時間が16.3時間から14.2時間に減少。
有給休暇取得日数(1人当たり)が7.5日から8.1日に上昇。
産休取得者の職場復帰率が97%(2013年~2016年累計)。
新卒採用では「働き方の柔軟さ」が志望動機の応募者が増加。事業展開地域外からの応募も増え、内定後の辞退率の低下。
残業はよくないと考える風土、男性が育児申請する・部下が有給休暇取得計画を立てる企業風土へと変革。

勤務間インターバル制度導入で、時間外労働 が約30% 減少

情報通信業

取組前
繁忙期は作業が深夜に及ぶ場合もあり、特定の社員に時間外労働が集中していました。深夜作業で十分な睡眠が確保できず、作業効率が低下し、さらに時間外労働が発生してしまう悪循環に陥ることや、休日を挟んでも疲労を完全に回復できない状況に危機感を抱いていました。
取組内容
全社員を対象に、終業から次の始業まで11時間以上確保する勤務間インターバル制度を導入しました。
取組結果
導入前後で比較すると、時間外労働は約30%減少。休息をきちんと取ると決めた「規則」であり、社員の健康確保、時間意識の改革にも役立っています。
中途採用の社員からは、入社を検討する際に勤務間インターバル制度は目新しくそして魅力的に感じたという声がありました。

長時間労働是正の成功例:まとめ

実際の事例を見ると、これまでは長時間労働が当たり前に行われていた企業でも、制度を変えたり新しい取り組みを行うことで長時間労働是正が可能であることが示されています。

以前は難しかった時間外労働の管理も、現在では勤怠管理システムにより時間の管理が容易になっていますので、従業員の健康を守るためにも長時間労働是正を徹底していきましょう。


厚生労働省:働き方改革のヒント(https://www.mhlw.go.jp/content/000566530.pdf)を加工して作成