【雇用調整助成金】不正受給の対応強化へ

【雇用調整助成金】不正受給

雇用調整助成金の不正受給発覚が相次いでいます。
三重では県内7事業者の総額約1億380万円、大阪では1事業者で約2.6億円、愛知では県内12事業所があわせて4億8千万円余りなど、雇用調整助成金を不正に受給していました。不正受給は、助成金の返還はもちろん会社名を公表されますし、悪質な場合は刑事告発が行われる可能性があります。
この記事では、雇用調整助成金の不正受給について紹介します。

雇用調整助成金の不正受給発覚の理由とは

このところ、雇用調整助成金の不正受給が相次いで発覚がしているのは、全国の労働局が調査を強化しているためです。

雇用調整助成金は、コロナ禍において特例による手厚い措置で雇用を支えてきました。令和4年2月11日時点では、支給決定額5兆3470億円。決定件数579万件にのぼります。しかし、迅速に支給決定できるよう申請手続が簡素化されたため、申請件数が依然として高水準で推移する中 、書類審査において不正申請が見つけにくくなる側面もあったのです。

コロナ禍において、雇用調整助成金が次々と拡充されたことで、労働局は対応に追われてきました。このブログだけでも令和2年3月〜6月の短期間に以下の雇用調整助成金について記事を投稿しており、いかに拡充のスピードが早かったかがわかります。

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令和2年9月~3年12月末の雇用調整助成金の不正受給(緊急雇用安定助成金も含む)について、不正受給は261件 約32.3億円、このうち回収額は218件 約21.5億円(一部返還含む)という結果になりました。

現在では不正受給に関する情報提供の増加したため、的確な調査の必要性があり、不正受給への対応強化が強く求められる局面となっています。
最近は感染拡大が落ち着き雇用調整助成金の申請も減ったため、不正の調査により多くの人員を割くことができるようになり、労働局の調査が強化されることになりました。

雇用調整助成金の不正受給とは

不正受給とは、偽りその他の不正行為により、本来受けることのできない助成金の支給を受けたり、受けようとすることをいいます。

  • 適正な支給申請の前提として、会社組織として労働時間・休業時間の正確な把握など、適切な雇用管理を行う必要があります。これを怠っているにも関わらず、事実と異なる支給申請を行うことは不正とみなされます。

  • 雇用調整助成金等を申請した事業主は、提出又は提示した書類の写し等について、支給決定日から起算して5年間保存する必要があります。
    不正受給ではなくても、当該書類を保存していない場合、不適正に該当する場合があります。

  • コンサルタント等と称し、本来受給要件を満たさないにも関わらず、受給可能であるとして申請を勧誘する者の存在が報告されています。「他の者が全ての書類を整えた(言いなりに申請しただけ)」としても、不正の対象は事業主となる場合があります。

  • 代表者が知らなかったとしても、調査の結果、不正受給と判断され、自主申告ではない不正受給事案については、例外なく事業主名が公表されます。

また以下は、実際に支給を受けていなくても、受けようとする行為は不正と見なされます。

架空休業

実際には出勤(テレワーク含む)しているにも関わらず休業したものとして休業日数や休業時間を水増しして申請

架空休業

出勤日にタイムカードを打刻しないよう従業員に指示する等により法定帳簿(出勤簿、賃金台帳など)を改竄・偽造して申請

架空雇用

退職した従業員を現在も雇用しているように装う、あるいは架空の人物を雇用しているよう装い、休業したものとして申請

架空休業手当

実際には従業員に所要の休業手当を支払っていないが、支払ったことを装い申請

雇用調整助成金の不正受給 立入検査について

不正が疑われる場合だけではなく、雇用調整助成金等の申請をした、あるいは支給決定を受けている事業主の一部に事業所訪問・立入検査が行われます。

  • 調査は、事前予告なしに行われることがあり、出勤簿や賃金台帳など休業の実態確認に必要な書類が確認される。

  • 調査は、労働局が行う事業所訪問・立入検査の他、会計検査院が訪問し、申請内容や関係書類を確認する場合があり、捜査機関など関係機関から問い合わせが行われる場合がある。

  • 立入検査は雇用保険法第79条に基づくものであり、検査を拒むなど協力しない場合、雇用保険法に基づく罰則が科せられることがある。

  • 従業員や取引先等へ調査協力として直接話しを聞く場合がある。

  • 提出代行又は事務代理の社会保険労務士がいる場合、社会保険労務士にも確認がある。

雇用調整助成金不正受給が判明した場合

都道府県労働局による事前予告なしの現地調査(事業所訪問・立入検査※)が行われ、不正が判明した場合は、以下の措置が行われます。

※雇用保険法第79条に基づく検査。

事業所名等の積極的な公表

不正受給を行った事業所名等を積極的に公表されます。

  • 事業主の名称、代表者氏名

  • 事業所の名称、所在地

  • 不正受給金額、不正の内容 等

返還請求(ペナルティ付き)

不正発生日を含む判定基礎期間以降に受給した助成金の全額、不正受給した助成金の額の2割に相当する額、延滞金(不正受給の日の翌日から納付の日まで年3分)の、合計額の返還が請求されます。

5年間の不支給措置

雇用調整助成金のみならず、他の雇用関係助成金も5年間の不支給措置となります。

悪質な場合は刑事告発

都道府県労働局は、不正受給対応について都道府県警察本部との連携を強化しています。
悪質な場合、捜査機関に対し刑事告発が行われます。

【雇用調整助成金】不正受給の対応強化へ:まとめ

不正受給は、会社や従業員の生活に深刻な影響を及ぼす結果を招きます。
ただし、仮に不正受給に該当した場合であっても、受給した金額+違約金+延滞金を迅速に返還すれば、事業主名の公表は、原則として行われません。また、全額の返還・納付後は労働局ホームページから削除してもらうことが可能です。

すでに雇用調整助成金を申請や受給したという経営者の方で、たとえば申請を社員や他者に任せてしまっていた場合も、意図せずとも不正とみなされる可能性がありますので、少しでも懸念があれば自ら調査を行い不適正があった場合は自主申告をする必要があるでしょう。

厚生労働省:
雇用調整助成金 不正・不適正に 受給していませんか(https://www.mhlw.go.jp/content/001082565.pdf)
雇用調整助成金等の不正受給対策について(https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000902755.pdf)
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