【労働災害を防ごう】3つの効果的な防止策

労働災害

厚生労働省がまとめた令和5年の労働災害発生状況によると、令和5年1月から12月までの労働災害による死亡者数は過去最少となったものの、休業4日以上の死傷者数は3年連続で増加しています。

労働災害は事故だけでなく、過重労働による健康障害やストレスによる精神的疾患も含まれます。企業には安全配慮義務があり、従業員の健康を守るため、労働災害防止策が必要です。
この記事では、企業が講じるべき労働災害防止策について解説します。

労働災害の現状

令和5年1月から12月までの労働災害による死亡者数は755人(前年比19人減)と過去最少となりました。しかし、休業4日以上の死傷者数は135,371人(前年比3,016人増)と3年連続で増加しています。
また、休業4日以上の死傷者数は135,371人となり、3年連続で増加となりました。

令和5年 業種別労働災害発生状況

出典:厚生労働省 令和5年 労働災害発生状況(https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001100029.pdf)

労働災害防止策1. 労働安全衛生関係法令の順守

労働災害防止の基本は、労働安全衛生法を守り、法令に従った対策をとることです。以下は労働安全衛生法で、事業者に義務づけられている措置です。

危険防止の措置

  1. 機械の動作範囲に身体の部位が入らないようにするため、柵や覆いなどを設ける。

  2. 火災や爆発の危険性のある物を取り扱う場合は、換気を行う・火気を使用しないなどの措置をとる。

健康管理の措置

事業者は、従業員に対して年に1回、定期健康診断を実施する。また、従業員を有害な業務に就かせる場合には、6カ月以内に1回、特殊健康診断を実施する。

安全衛生管理体制の整備

  1. 従業員数10人以上50人未満の事業場では、安全衛生推進者または衛生推進者を選任し、危険防止の対策や教育、健康診断などの安全衛生の業務を担当させる。

  2. プレス機械や木材加工用機械による作業など、危険または有害な作業を行う場合には、作業主任者を選任し、作業員の指揮、機械設備の点検等を行わせる。

  3. 従業員の意見を聞きながら安全衛生対策を進める。

安全衛生教育の実施

従業員を雇い入れたときなどには、機械、原材料、保護具などの取扱方法・作業手順・事故時における応急措置など、安全衛生のための教育を行う。

労働災害防止策2. 自主的な安全衛生活動

安全衛生活動

安全な作業を定着させるためには、全員が災害防止の活動に取り組み、危険に対する認識、安全意識を高めることが重要です。

自主的な活動例

ヒヤリ・ハット活動

作業中にヒヤリとした、ハッとしたが幸い災害にはならなかったという事例を報告・提案する制度を設け、災害が発生する前に対策を打とうというのがヒヤリ・ハット活動です。

危険予知活動(KY活動)

作業前に現場や作業に潜む危険要因とそれにより発生する災害について話し合い、作業者の危険に対する意識を高めて災害を防止します。作業の状況を描いたイラストシートを用いて行う方法などがあります。

安全当番制度

以上のほか、安全提案制度、4S(整理、整頓、清潔、清掃)活動、職場安全ミーティングなどさまざま工夫がされています。 事業場の実態に即して、ふさわしい活動に取り組みましょう。

リスクアセスメントに基づく取り組み

リスクアセスメントとは、作業に伴う危険性または有害性を見つけ出し、これを除去、低減するための手法です。
リスクとは負傷または疾病の重篤度と発生の可能性を組み合わせたもののことです。リスクアセスメントに基づき対策を行うことにより、確実に効果的に災害を防止できます。

リスクアセスメントの実施例

リスクアセスメントの実施例

リスクアセスメントの効果

  1. 職場のリスクが明確になる
  2. 職場のリスクに対する認識を管理者を含め、職場全体で共有できる
  3. 安全衛生対策について、合理的な方法で優先順位を決めることができる
  4. 残されたリスクについて「守るべき決め事」の理由が明確になる
  5. 職場全員が参加することにより「安全」に対する感受性が高まる

労働災害防止策3. メンタルヘルス対策の推進

精神障害等による労災認定件数

令和5年度の精神障害に関する事案の労災補償状況は、請求件数4,598件、前前年度比1,112件の増加となっています。

出典:厚生労働省 令和5年度「過労死等の労災補償状況(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40975.html)

メンタルヘルスケアは、中長期的視野に立って、継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要であり、その推進に当たっては、事業者が労働者の意見を聞きつつ事業場の実態に則した取組みを行うことが必要です。
このため衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」を策定します。
心の健康づくり計画に盛り込む事項は、次に掲げるとおりです。

  1. 事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進を表明する
  2. 事業場における心の健康づくりの体制を整備する
  3. 事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施
  4. メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用
  5. 労働者の健康情報の保護
  6. 心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直し
  7. その他労働者の心の健康づくりに必要な措置

参照:【メンタルヘルス対策】職場で必要なケアとは

正しい労働時間管理

令和5年度の精神障害に関する事案の労働災害補償状況では、請求件数は3,575件で前年度比892件の増加。
時間外労働時間別(1か月平均)の傾向として、支給決定件数は「20時間未満」が63件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が55件という結果でした。

また、令和5年度の脳・心臓疾患に関する事案の労働災害補償状況においても、請求件数は1,023件で、前年度比220件の増加。
時間外労働時間別の傾向として、支給決定件数は「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」24件が最も多く、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」54件が最も多くなっています。

出典:厚生労働省 令和5年度「過労死等の労災補償状況(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26394.html)

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このように、従業員の精神障害や疾患について労働時間は深く関わっているため、従業員の労働時間を正確に把握したり、従業員自身も自分の労働時間を容易に把握できる仕組みが必要です。
上記の労働災害防止策を講じると同時に、常に従業員の勤務時間を確認できる勤怠管理システムを利用し、正しい労働時間管理を行いましょう。

参照:
【過労死対策】労働時間管理の徹底を
【労働時間把握の義務化】改めて見直そう

【労働災害を防ごう】3つの効果的な防止策:まとめ

企業には安全配慮義務があり、快適な職場環境を作り従業員に安全と健康を確保しながら働いてもらう必要があります。

労働安全衛生関係法令の順守、リスクアセスメントの実施、メンタルヘルス対策、正しい労働時間管理など、企業には多くの労働災害防止策が求められますが、安心な職場でこそ従業員は生産性を向上させ企業に貢献する仕事ができます。企業の発展のためにも、労働災害が起こらないよう、しっかりと防止策を講じましょう。

厚生労働省:労働災害防止のために(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/110222-1_001.pdf)を加工して作成